※この記事には『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シーズン1第5話「ミイラの呪い(The Curse)」の結末を含むネタバレがあります。
エピソード基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | NCIS ~ネイビー犯罪捜査班 |
| シーズン・話数 | シーズン1 第5話 |
| 日本語タイトル | ミイラの呪い |
| 原題 | The Curse |
| 本国放送日 | 2003年10月28日 |
| 監督 | テレンス・オハラ |
| 脚本 | ドン・マッギル、ジェフ・ヴラミング、ドナルド・P・ベリサリオ |
現在どこで見られる?
2026年9月確認時点では、Huluで『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シーズン1が見放題配信されています。
Huluでは字幕・吹替に対応しています。
※配信状況は変更される可能性があります。
ネタバレなしのあらすじ
森の中で鹿猟をしていた男性が、地面に埋もれていた航空機用のカーゴポッドを発見する。
中から見つかったのは、約10年前に行方不明となっていた海軍軍人のミイラ化した遺体。
亡くなった男性は失踪当時、艦内から120万ドルもの金を盗んで逃亡した人物とされていました。
しかし遺体が発見されたことで、10年前の事件そのものに大きな疑問が生まれます。
本当に彼は金を盗んで逃げたのか。
それとも、全く別の真相があったのか。
NCISは、長年逃亡犯として扱われてきた軍人の死を改めて捜査することになります。
ネタバレなしの感想
第5話は、ミイラ化した遺体というかなりインパクトのある始まりですが、事件の中心にあるのは派手な殺害方法よりも「死んだ人間の名誉を取り戻せるのか」という話です。
約10年間、金を盗んで逃げた男として扱われてきた軍人。
そのせいで、残された家族まで大きな影響を受けていました。
本人はすでに死んでいて、自分の無実を訴えることもできない。
だからこそ、真相が分かることには犯人逮捕以上の意味があります。
そして今回は、ケイトの性格がかなりよく出ている回でもありました。
ケイトは遺族へ強く共感し、その感情を捜査にもかなり持ち込むタイプ。
その共感の強さは長所でもあり、時には危うさにもなる。
ギブスやトニーとは違う、ケイトらしい捜査官としての特徴が見えるエピソードです。
ここからネタバレあり
約10年間「金を盗んで逃げた軍人」とされていた
発見された遺体は、約10年前に行方不明となった海軍軍人シルズ。
失踪当時、艦の会計部門から120万ドルもの金が消えていました。
そしてシルズ本人も消えた。
当然「金を盗んで逃亡した」と考えられます。
本人はそのまま行方不明。
結果として、長年にわたって犯罪者扱いされることになります。
でも今回、彼の遺体がカーゴポッドの中から発見される。
それも殺害されていた可能性が高い状態で。
ここで初めて、本当にシルズが金を盗んだのか?という前提そのものが崩れます。
シルズは盗んで逃げたのではなく、盗みに巻き込まれて殺された側だった。
10年近く経って、ようやくそこへたどり着く事件でした。
家族側からしたら、可哀想すぎる
今回かなり重いのが、シルズ本人だけではなく、残された家族です。
夫・父親が突然消える。
しかも世間的には「艦から大金を盗んで逃げた男」として扱われる。
本人から事情を聞くこともできない。
何が起きたのかも分からない。
それでも家族は、その疑いを背負い続けるしかありません。
さらに、シルズが逃亡犯として扱われていたことで、本来受け取れるはずだった給付にも影響が出ていました。
家族側からしたら、本当にどうしようもない。
当時の情報だけなら、海軍側も「金と一緒に消えた人物」を犯罪者として扱うしかなかったでしょう。
制度上は仕方がない。
でも、家族が可哀想なのも変わりません。
だから今回の真相解明は「犯人を捕まえた」だけでは終わらない。
シルズの名誉が戻ることで、残された家族までようやく救われます。
宝くじ当選は本当。でも金額は嘘
事件を追う中で浮上するのがエリン。
事件後、かなり裕福な生活を送っています。
当然「その金はどこから?」という疑問が出てくる。
そこで彼女が出した説明が、宝くじに当たった、でした。
しかも、当選したこと自体は本当で、当選券や新聞記事まである。
ここ、一瞬すごく強い証拠に見えます。
でも調べてみると、宝くじには確かに当たっていたものの、本人が言っていたほどの高額当選ではなかった。
宝くじ自体が完全な嘘ではないのが上手いです。
これはもう、隠れ蓑として強すぎる。
実際に当たっているので「急に金持ちになった理由は?」と聞かれても説明できる。
新聞記事まである。
本人からしたら、運まで味方した!くらいに思ったんじゃないでしょうか。
完全な偽装を作るのではなく、本当に起きた幸運を利用して犯罪で得た金を隠す。
かなり都合のいい偶然でした。
オレンジ色の繊維から郵便袋へつながる
シルズの遺体から見つかったのが、オレンジ色の繊維。
最初は、何このオレンジ?という感じです。
でも調べていくうちに「見覚えがある」となる。
そこでつながるのが、艦内で使われていた大きなオレンジ色の郵便袋。
シルズは殺害されたあと、その袋に入れられて艦内を運ばれたのではないか。
そして航空機のカーゴポッドへ入れられ、外へ捨てられた。
10年近く発見されなかった理由までつながります。
この、小さな繊維 → 見覚えのある物 → 遺体搬送方法へ進む流れが、NCISらしい科学捜査と現場記憶の組み合わせでした。
人気者だったエリンなら、男ではなく彼女を見る
さらに面白いのが、そんな大きな袋を艦内で運んだら誰かに見られるだろうという問題。
そこで出てくるのが、当時エリンがかなり人気のある女性だったということ。
男が大きなオレンジ色の袋を運んでいる。
でも、その横にエリンが歩いている。
だったら多くの人は、袋よりエリンを見る……という推理。
確かに(笑)
かなり大胆な方法ですが「あの人が歩いてた」という記憶は残っても、その隣の袋の中身まで気にする人は少ない。
人気者だった彼女自身が、遺体搬送のカモフラージュにもなっていたわけです。
シルズは金を盗んだのではなく、盗みに巻き込まれた
真相としては、シルズが120万ドルを持ち逃げしたわけではありません。
犯人側に金庫を開けさせられ、その後殺害された。
つまりシルズは、盗んだ人間ではなく、盗みを成立させるために利用された人間。
長年「金を盗んで逃げた軍人」とされていた人物が、実際には職務中に犯罪へ巻き込まれ、殺害された被害者だった。
この逆転が、第5話の一番大きなポイントだと思います。
ケイトは遺族へかなり深く入り込む
今回、ケイトの性格がかなり出ています。
ケイトは共感が強い。
遺族や被害者の気持ちに寄り添うだけではなく、かなり深くのめり込むタイプだと思います。
シルズの妻や娘が、約10年間「金を盗んで逃げた男の家族」として扱われてきた。
本来受け取れるはずのものまで受け取れなかった。
その状況を知ると「仕方ないですね」では終われない。
何とかしてあげたい。
名誉を戻したい。
そういう感情が、そのまま捜査へのエネルギーになる。
これはギブスやトニーにはない部分だと思います。
正確には、二人にも人情や共感はある。
でもベクトルが違う。
ギブスは相手をよく観察して「この人間はどういう人物なのか」を判断するタイプ。
トニーは人懐っこさや軽さで相手との距離を縮める。
一方ケイトは、相手の感情を自分の中にかなり強く取り込む。
だから遺族にすごく寄り添える。
でも、その分だけ危うさもあります。
「この人は犯人じゃないわ!」が感情から出るタイプ
ケイトを見ていると「この人は犯人じゃないわ!」みたいな判断が、証拠だけではなく、その場の空気や相手への共感から出ることがあります。
本人の表情を見て、話を聞く。そこから感情を受け取る。
その時点で「この人は違う」と思えばかなり強く信じる。
もちろん、それが当たることもあります。
ケイトは人を見る力もある。
でも捜査官としては、少し危うい。
感情移入しすぎれば、客観的な判断を失う可能性もあります。
ただ、この共感の強さがなければ、シルズの家族に対してここまで真剣にもなれない。
長所と弱点が同じ場所にある。
ケイトというキャラクターの面白いところです。
ギブスやトニーとは違う、人の見方
ギブスも人情は深いです。
第2話では被害者の息子のためにツリーハウスを完成させ、第3話では亡くなった軍人の名誉を守ろうとしていました。
でもギブスは、相手の感情に一緒に沈むというより、その人間に対して自分が何をすべきかを決めるタイプに見えます。
トニーも人との距離を詰めるのは上手い。
でもケイトほど相手の気持ちを引き受けない。
だから、この3人が一緒にいるとバランスがいいんだと思います。
ケイトが感情へ寄る。
ギブスが判断する。
トニーが間に入って空気を軽くする。
まだシーズン1序盤ですが、すでにそれぞれの役割が少しずつ見えてきています。
事件を再現して犯人を追い詰める
終盤では、当時何が起きたのかを再現しながら犯人を追い詰めていきます。
シルズが自分から金を運んだのか。
殺されると分かっていたのに、艦内を堂々と大金を持って移動するだろうか。
そう考えると、殺害されたのは金庫の近くだったはず。
では、遺体はどうやって誰にも気づかれず運ばれたのか。
そこで先ほどのオレンジ色の郵便袋につながる。
一つずつ当時の状況を組み直して「このやり方でなければ成立しない」というところまで犯人の逃げ道を潰していく。
10年前の事件だからこそ、最新の現場証拠だけではなく、残っている物証と人間関係を組み直す捜査が面白い回でした。
ミイラ化した遺体から、10年前の人生まで戻ってくる
タイトルは「ミイラの呪い」。
冒頭もかなりホラー寄りです。
森の中に、古いカーゴポッド。その中にミイラ化した軍人。
でも事件を追っていくと、この遺体は単なる「昔の死体」ではなくなっていきます。
妻がいた。
娘がいた。
職務があった。
名誉があった。
それらがすべて「金を盗んで逃げた」というひとつの疑惑で覆われていた。
遺体が見つかったことで、10年前に止まった人生の評価まで動き始める。
そこが印象的でした。
まとめ|犯人逮捕だけではなく、家族までようやく救われる回
『NCIS』シーズン1第5話「ミイラの呪い」は、約10年前に失踪した海軍軍人のミイラ化した遺体から始まる事件でした。
ある日失踪した男。
同時に消えた120万ドル。
長年「金を盗んで逃げた」とされていたシルズ。
でも実際は犯罪者ではなく、盗みに巻き込まれて殺された被害者でした。
宝くじに本当に当たっていたことを隠れ蓑にする犯人。
オレンジ色の郵便袋。
人気者だったエリンを利用した遺体搬送。
10年前の出来事が、少しずつ形になっていきます。
そして個人的に一番大きかったのは、シルズの名誉が戻ることで、残された家族まで救われること。
本人はもう戻ってきません。
約10年間失った時間も戻りません。
けれど「父親は家族を捨てて金を盗んで逃げた人間ではなかった」という事実は残せる。
今回のケイトは、その部分へかなり強く感情移入していました。
共感が強い。
のめり込む。
感情で動く。
だから危ういこともある。
でも、その性格だからこそ救える相手もいる。
ケイトがどんな捜査官なのか、かなり分かりやすい回でもありました。
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