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『NCIS』シーズン1第9話「死者からの電話」感想|本当に生きていた夫と、一人だけ帰れた結末【ネタバレ】

※この記事には『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シーズン1第9話「死者からの電話(Marine Down)」の結末を含むネタバレがあります。

エピソード基本情報

項目内容
作品名NCIS ~ネイビー犯罪捜査班
シーズン・話数シーズン1 第9話
日本語タイトル死者からの電話
原題Marine Down
本国放送日2003年12月16日
監督デニス・スミス
脚本ジョン・C・ケリー

CBS公式でも、シーズン1第9話「Marine Down」は「死亡した海兵隊員の妻に、死んだはずの夫から電話がかかってくる」事件として紹介されています。

現在どこで見られる?

2026年9月確認時点では、Huluで『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シーズン1が見放題配信されています。
Huluでは字幕・吹替・英語字幕に対応しています。
※配信状況は変更される可能性があります。

ネタバレなしのあらすじ

海外での任務中に死亡したとされ、すでに葬儀まで終えている海兵隊少佐ジム・キッドウェル。
ところが妻サラのもとへ、死んだはずの夫から電話がかかってきます。

サラは声を聞いて「夫に間違いない」と主張しますが、軍から返されたのは封印された棺だけ。
詳しい死因すら知らされていません。

いたずらなのか、それとも、誰かがキッドウェルになりすましているのか。
はたまた、本当に生きているのか。

NCISが調べ始めると、同じ任務で死亡したとされるもう一人の海兵隊員ピアリーも含め、二人の死には不自然な点が次々と見つかっていきます。

ネタバレなしの感想

今回はかなり切ない回でした。

「死んだ人から電話が来る」という始まりだけなら、ちょっと怪談のようにも見えます。

でも妻からすれば、怖さより先に「夫が生きているかもしれない」という嬉しさが来るんじゃないでしょうか。

もう二度と会えないと思っていた人の声が聞こえる。
周囲から「別人かもしれない」と言われても「夫の声を間違えるわけがない!」と信じたくなるのも分かります。

そして今回は、その希望から繋がる内容が、その後の展開が余計に辛いエピソードでした。


ここからネタバレあり

「夫の声を間違えるわけがない」――妻の感覚は正しかった

サラにかかってきた電話について、最初は本人を装ったいたずらの可能性も疑われます。
ですがアビーが録音された音声を分析。

電話回線によって削られる音域まで考慮して再解析した結果、キッドウェル本人の声だと判明します。

ここは素直に、え、じゃあ本当に生きてたってこと?となりました。
後の犯罪ドラマなら録音した声を加工したり、別人の音声を利用したりする事件もあります。

でも、この時点ではそうではない。妻が聞いたのは、本当に夫の声。

「自分の夫の声なら分かる」というサラの感覚が、ちゃんと正しかったんですよね。
それが証明された瞬間は嬉しい。
なのに、その喜びがそのまま救出につながらないところが今回の辛いところです。

棺の中に本人がいる――それでも時間が合わない

キッドウェルの棺を掘り返すと、中には本人の遺体が入っています。

となると、やっぱり死んでいた?じゃあ電話は何だったの?と、また話がひっくり返る。
しかし遺体から見つかったスペイン語の新聞紙の日付は、キッドウェルの葬儀より後。

つまり、葬儀が行われた時には、キッドウェルはまだ生きていた。

犯人はNCISが墓を調べることを察し、そのあとキッドウェルを殺して棺へ入れたことになります。
死んだ人から電話が来たのではなく、生きている人を先に「死んだこと」にしていた。

ここで事件の見え方が完全に変わりました。

生きたままエンバーミング――隠蔽方法がひどすぎる

キッドウェルの死因は、かなりえげつないです。

彼は殺されてから遺体を防腐処理されたのではなく、生きた状態でエンバーミングされていた。
普通に撃ったり刺したりすれば、遺体を調べられた時に死亡時期や死因が合わなくなる。

犯人側はすでに「キッドウェルたちは以前に死亡した」という設定を作っている。

そこでエンバーミングを利用し、死亡時期を分かりにくくした。作中でも、この方法なら新しい遺体を古い死亡として偽装できるという発想が説明されています。

これは本当にひどい。

同時に、そこまで考えて隠蔽する知識があるのもすごいな……と思います。
偽の死亡記録だけではなく、遺体が見つかった場合まで考えている。
注手その知識がある。

かなり計画的です。

なぜキッドウェルだけ先に殺されたのか

キッドウェルとピアリーは、最初は二人とも生きていました。
ではなぜ、キッドウェルだけが先に殺されたのか。

理由はかなり分かりやすいです。

キッドウェルが外部へ電話してしまったから。

妻へ連絡し「自分は生きている」と知らせてしまった。

犯人からすれば、一番危険なのは当然こちらです。
死んだことになっている人間が、外へ連絡を取り始めた。
このまま放置したら全部ばれる。
だから危険度の高いキッドウェルから先に口封じされた。

考えてみれば当然なのですが、理由が分かると余計に辛い。
キッドウェルは助けを求めようとしたから殺された。
でも、その電話があったからこそNCISが動き始めます。

もし彼が何も伝えなかったら、ピアリーまでそのまま消されていたかもしれません。

ピアリーの棺には本人がいない――今度こそ生きていてくれ

キッドウェルが葬儀後まで生きていたことが分かると、じゃあ、一緒に死んだことになっているピアリーは?となります。

NCISが墓を調べると、棺の中に人間の遺体はありません。

ここはもう、頼む、生きていてくれ。でした。

キッドウェルについては、ほんの少し遅かった。
だからこそピアリーには間に合ってほしい。

同じ事件の被害者を二人並べることで、一人目の結末がそのまま二人目への希望になっているのが印象的です。

本人なのに死者扱いのトニー

今回、本筋とは別にトニーまで「死亡」しています。

機密情報へアクセスしようとしても入れない。
調べてみると、書類上ではトニー・ディノッゾは先月の交通事故で死亡。
別の捜査官と書類を取り違えられたせいで、セキュリティ・クリアランスまで取り消されていました。

とんでもない間違い犯してるぞ、これ。

そして本人が生きているのに、生存を証明するため健康診断を受けなければならない。

いや、本人ここにいるんだけど。

事件本編では「死亡したとされている人間が実は生きている」という深刻な話をやっているのに、トニーまで事務手続き上の死者になっているのが面白いです。
(トニーだから笑えるけど、多分ギブスなら笑えない)

今回は妙に、誰が本物なのか。誰が生きているのか。記録と本人のどちらが正しいのか。という話が繰り返されています。

今度は「トニー」が二人いる

さらにピアリーの妻リサの前には、NCIS捜査官を名乗る男まで現れます。

しかも名乗った名前は、ディノッゾ捜査官。

本人はNCISにいる。

なのに、公園では別の「ディノッゾ」がピアリーの子どもたちと話している。

リサがギブスへ電話し「ディノッゾ捜査官に話を聞かれている」と伝えたことで偽者だと判明します。

ここ、結構怖いです。
犯人側が家族の近くまで来ている。
しかもNCISの帽子をかぶり、堂々と捜査官を装っている。
そこまで大胆に近づいておいて、ギブスたちが到着する前に逃げ切ってしまう。

NCISを名乗られたら、普通は信用してしまうよ。
あの帽子が公的なもの……というか、現場で使うものだから、知っているこちらとしては、信じちゃいそうだし。

子どもと話している姿だけ見れば、危険人物だとも分かりません。
身分証や肩書きを利用される怖さが出ている場面でした。

偽の大佐まで用意する、大がかりすぎる隠蔽

犯人側の工作はそれだけではありません。

ギブスたちの前にはキッドウェルとピアリーの上官・ウォルシュ大佐を名乗る男まで現れ「二人は海外任務中、売春宿で毒殺された」というもっともらしい話をします。

ところが、後から本物のウォルシュ大佐が登場。

最初に話していた男は偽者だったと判明します。

偽大佐。
偽NCIS捜査官。
偽の死亡。
封印された棺。

ここまでやるのはかなり大胆です。

犯人ジャック・カントンの目的は、CIAが用意した200万ドルの身代金を横取りすること。
そのために海兵隊員二人を死亡扱いにし、事件そのものを消そうとしていました。
金のためとはいえ、隠蔽の規模が大きい。

ひとつの嘘を守るために、次から次へと別の偽装を積み重ねています。

一人だけ家族のもとへ帰る

最後、ピアリーは無事に救出されます。
車が家の前へ到着し、子どもたちが父親を見つけて走っていく。

ずっと死んだと思っていた父親が、本当に帰ってきた。
これはもちろん嬉しいことですし、本当に良かったと思います。

でも、完全に明るい気持ちにはなれません。

だって、こちら側は知っているんですよ、最初はキッドウェルもピアリーも生きていたことを。
それなのに、助かったのは一人だけ。

だからどちらの家族の立場でも「もし逆だったら」が残ると思います。
ピアリー自身も「自分ではなくキッドウェルが助かっていたら」と考える瞬間があるかもしれない。

妻たちも同じ。

片方の夫は帰ってきた。
片方の夫は帰ってこなかった。

一人が救われたからこそ、もう一人が救われなかった事実がはっきり見えてしまう。

今回の切なさは、そこにあると思いました。

まとめ|最初の電話は、本当に助けを求める声だった

『NCIS』シーズン1第9話「死者からの電話」は、死んだはずの夫から電話が来るという謎から始まりました。

そして結局、その電話は偽物でもいたずらでもない。
本当に生きていたキッドウェル本人からの連絡でした。
妻が「夫の声を間違えるわけがない」と思ったことも正しかった。

ただ、NCISが真相へたどり着く前に、キッドウェルは口封じされてしまいます。
一方、ピアリーには間に合った。
家族との再会は、見ているこちら側としても嬉しい。

それでも二人とも生きていたことを知っているから、一人しか帰れなかったことが残ります。

そして裏では、トニーまで書類上では死者。
そのうえ偽トニーまで登場。

重い事件の中に「本人なのに本人として扱われない」という小ネタまで重ねてくるのも、NCISらしい回でした。

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