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『NCIS』シーズン1第6話「公海の英雄」感想|ギブスの元部下に嫉妬するトニーと、歪んだ善意【ネタバレ】

※この記事には『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シーズン1第6話「公海の英雄(High Seas)」の結末を含むネタバレがあります。

エピソード基本情報

項目内容
作品名NCIS ~ネイビー犯罪捜査班
シーズン・話数シーズン1 第6話
日本語タイトル公海の英雄
原題High Seas
本国放送日2003年11月4日
監督デニス・スミス
脚本ジェフ・ヴラミング、ラリー・モスコウィッツ

現在どこで見られる?

2026年9月確認時点では、Huluで『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シーズン1が見放題配信されています。
Huluでは字幕・吹替・英語字幕に対応しています。
※配信状況は変更される可能性があります。

ネタバレなしのあらすじ

スペインに寄港していた空母エンタープライズの乗組員ウィルクスが、レストランの冷凍室で全裸の状態で発見される。
血液からはメタンフェタミンが検出されたものの、本人は直近の薬物検査を問題なく通過していた。

さらに空母へ戻ったあと、同じクルーの別の海軍兵まで異常な状態に陥る。

空母に一人で常駐して捜査していたNCIS捜査官スタン・バーリーは、人手不足からかつての上司ギブスへ応援を要請。
ギブスたちは空母へ向かい、薬物を使っていないはずの兵士たちから、なぜメタンフェタミンが検出されるのかを調べていきます。

ネタバレなしの感想

第6話は、薬物事件そのもの以上にキャラクター同士の関係がかなり面白い回でした。

特に大きいのが、ギブスの元部下スタン・バーリーの登場。
バーリーは普通に優秀です。

そもそも空母で一人で捜査を担当していて、自分だけでは時間が足りないと判断した段階で、ギブスへ増援を求めている。
ギブスも彼の能力をよく知っていて、久しぶりに昔の部下と組むことをどこか懐かしんでいるように見えます。
そして、その二人を見て面白くないのがトニー。

なんか彼女みたいにヤキモチ焼いてる。

でもバーリー側から見ると、むしろ今ギブスのそばで働いているトニーの方が羨ましい。
ギブスがちゃんと「ディノッゾ」と認識していること自体、バーリーからすると特別に見える。
事件は重いのに、この関係がかなり楽しい回でした。


ここからネタバレあり

薬物をやっていないのに、メタンフェタミンが出る

ウィルクスの血液から検出されたのはメタンフェタミン。
高熱や異常行動もあり、普通なら薬物使用を疑います。
ところが直近の抜き打ち尿検査では陰性。
本人も薬物の使用を否定します。

さらに同じクルーのシュルーまで同様の症状を起こす。
二人とも薬物をやっていないと言う。
でも身体からは薬物が出る。
ここから「本人たちが検査をすり抜けているのか?」という疑いが出てきます。

ただ、実際には本人たちの言葉が正しかった。
彼らは自分の意思で薬物を使っていたわけではありませんでした。

ギブスの元部下、スタン・バーリーが普通に優秀

今回登場するバーリーは、かつてギブスの下で働いていたNCIS捜査官。

空母エンタープライズでは一人で捜査に当たっていました。
事件が複雑になり、一人では時間が足りないと判断してギブスを呼ぶ。
この時点で、普通に優秀な人なんだなと思いました。
ギブスの元で働いていた人間が、今は一人で空母の捜査を任されている。

しかも無理に抱え込まず「これは増援が必要だ」と判断できる。
ギブスもバーリーについて「先回りして準備しているところは昔から変わらない」というような反応を見せます。

昔の二人の関係性が少しだけ見えるのがいい。
今のチームしか知らない状態で見ると、ああ、ギブスにもこういう時期があったんだなと思いました。

トニー、完全にヤキモチ焼いてない?

そしてバーリーが来たことで、妙に面白くなるのがトニー。

バーリーはギブスの昔を知っている。
ギブスから信頼されている。
仕事もできる。
そんな元部下を前にすると、トニーがなんとなく面白くなさそう。

元カノに嫉妬している今カノみたい。
でも面白いのは、バーリー側から見ると逆なんですよね。

トニーは今、毎日ギブスの直属で働いている。
ギブスはトニーの名前も当然覚えている。
一方バーリーは「ギブスが自分のことを覚えている」ことそのものを気にしている。

トニーからすると「ギブスと昔からこんな関係だったのか」と羨ましい。
バーリーからすると「今ギブスのそばにいるお前が羨ましい」。
お互い隣の芝生が青い状態。
結局トニーは、かなりギブスのこと好きなんだなと思います。

ギブスとバーリーの昔のチーム感が少し戻る

二人で映像を見ながら捜査する場面では、ギブスとバーリーが昔のようにやり取りします。

バーリーが推理を出す。
ギブスが容赦なく突っ込む。
バーリーも普通に言い返す。
過去の失敗まで持ち出す。
この距離感を見ると、本当に長く一緒に働いていたんだなと分かります。

ギブスもバーリーを信用している。
でも甘やかすわけではない。
久しぶりの部下だから優しくする、という感じでもない。
信頼しているから普通に厳しい。

この辺もギブスらしいです。

犯人は、部下へ覚醒剤を飲ませていたレイエス

捜査の結果、問題の中心にいたのはクルーを率いるレイエス兵曹長。
彼は部下たちに渡していたカフェイン入りのカプセルを利用し、中身をメタンフェタミンへすり替えていました。

つまり兵士たちは、自分が覚醒剤を飲んでいることすら知らなかった。
さらに薬物検査でも発覚しないよう操作していたため、抜き打ち検査を通過していた。
だから本人たちは「薬なんてやっていない」と言っていた。

本当にやっていなかったんです。
自分の意思では。

倫理的には完全アウト。でも単純に憎みきれない

レイエスがやったことは、どう考えてもアウトです。
本人の同意もなく覚醒剤を飲ませる。
健康を危険にさらす。
実際に死者まで出る。
理由が何であれ、犯人であることは変わりません。

ただ、見終わったあとに単純な怒りだけが残る犯人でもありませんでした。
レイエスは「部下を苦しめてやろう」と思っていたわけではない。
むしろ逆。
部下を強くしたい、過酷な任務を乗り切らせたい。それがチームのためでもあり、本人たちのためでもある。
本気でそう考えていたように見えます。

空母の飛行甲板は過酷な環境で長時間勤務も長い。環境も厳しく、一瞬の判断ミスが重大事故につながる。
レイエス自身も「このチームを何とかしなければ」とかなり追い詰められていたんだと思います。
競争もありましたからね。
だから難しい。

倫理的には間違いなくアウト。
死者も出ている。
でも、ただの悪人として憎みきれない。
あの表情を見ていると「この人なりに相当考えて、その結論へ行ってしまったんだろうな」という複雑さが残りました。

「強くしてやる」が、取り返しのつかないところまで行く

レイエスにとっては、薬を飲ませることが「部下を壊す」ためではなく「部下の能力を引き出す」行為になっていたんだと思います。

実際、彼は自分のチームが優秀だったことを誇っています。
他のクルーより早く仕事ができる。
厳しい状況でも任務を遂行できる。
自分はそのためにできることをする。
その結果を見て、自分のやり方は正しいと確信してしまった。

でも、その「成果」の裏で本人たちは薬物依存へ近づき、最終的には死者まで出た。
善意や責任感が強ければ、行動まで正しくなるわけではない。
むしろ、自分はこの人たちのためにやっているという確信があるからこそ、止まれなくなることもある。
そこが今回かなり嫌で、同時に印象に残りました。

最後の囮捜査は「バレるな!」が強い

ギブスたちは、レイエスが実際に部下へ薬を渡している証拠を取ろうとします。
そこで協力するのがナイルズ。
その前にギブスと話している場面があるので、あ、これ囮だなとこちらにも分かります。
だから見ている側としては「本当に薬を受け取るの?」という驚きより、バレるなよ! 頼むからバレないでくれ!という気持ちの方が強かったです。

ナイルズは疲れた様子を見せ「今日はもう無理だ」という雰囲気を出す。
するとレイエスは、いつものようにカプセルを渡す。
そしてナイルズはそれをギブスへ渡す。
これで、レイエスが実際に部下へ薬を与えていた証拠が取れます。

危ない作戦ではありますが、相手の行動をそのまま証拠にするにはかなり分かりやすい方法でした。

「いい兵士は命令に従う」が重い

レイエスはナイルズへ薬を渡す際にも、命令に従うことを良い兵士の姿として扱います。
ここがかなり嫌です。
軍という組織では、命令に従うこと自体が重要。
レイエスはその関係性を利用している。

部下からすれば「上官がくれた疲労対策の薬」くらいの認識。
まさか覚醒剤だとは思わないし、相手は上官。だから疑わず飲む。
信頼されている上官だからこそ可能だった犯行です。

本人は部下を愛している。
守りたいとも思っている。
でも、その信頼を使って本人たちの知らない薬を飲ませた。
やっぱり、どれだけ理由があってもそこは越えてはいけない線だったと思います。

ウィルクスを「英雄」と呼ぶレイエス

最後までレイエスは、自分のしたことを完全には否定しません。
自分たちは過酷な任務をこなしてきた。部下たちは成果を出した。
そして亡くなったウィルクスについても、任務の犠牲になった英雄というような認識を示します。

ここで余計に「この人は自分を悪人だと思ってないんだな」と感じました。
だからこそ怖い。
悪意があってやったなら「酷い人だった」で終われる。
でもレイエスは、自分はチームのために必要なことをしたと思っている。

それでも人は死んだ。
本人の意思を無視して薬物を与えたうえに、結果が良ければ手段も正しい、とはならない。
そのズレが最後まで埋まらないまま終わるので、複雑な後味が残りました。

まとめ|ギブスの昔と今、そして善意が歪んだ犯人

『NCIS』シーズン1第6話「公海の英雄」は、薬物を使用していないはずの海軍兵からメタンフェタミンが検出される事件。
真相は、上官レイエスが部下を強くし、過酷な任務を乗り切らせるために、本人たちへ知らせず覚醒剤を与えていたというものでした。

倫理的には完全にアウト。
死者も出ている。
犯人であることに変わりはありません。
でも「部下のためにやった」という気持ちそのものまで全部嘘には見えませんでした。
だから単純に憎みきれない。
いや、悪いは悪いのだけれど。
演じる側の表情も含めて、かなり複雑な犯人でした。

そして今回はスタン・バーリー。
空母で一人で捜査を任されている時点で普通に優秀。
ギブスも昔の部下として信頼していて、二人のやり取りから以前のチームが少し見える。
それを横で見ながら、トニーがなんか彼女みたいにヤキモチを焼く。
でもバーリーからすると、今ギブスのすぐそばで働いているトニーの方が羨ましい。
昔の部下と今の部下。
どちらからもギブスとの関係が少し特別に見えている。
事件は重いですが、この二人のおかげでキャラクター面ではかなり楽しい回でした。

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