『MILGRAM』コトコ「ディープカバー」第二審 感想・考察|010の囚人から011の看守へ

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『MILGRAM -ミルグラム-』囚人番号010、コトコ/杠琴子の第二審楽曲「ディープカバー」。

第一審「HARROW」では、コトコは自分で悪人を探し出し、自ら制裁を加える人物として描かれていました。

彼女の行動には「弱い人を助けたい」「悪人を放置したくない」という正義感がある一方で、どこまでが救助で、どこからが私刑なのかという危うさもありました。

そして第一審で、コトコは「赦す」と判定されます。
第二審「ディープカバー」で強く感じたのは、その判定をコトコが、自分の正義は認められた / 自分は裁かれる側ではなく、裁く側だと受け取った可能性です。

今回のコトコは、囚人番号010として円卓の駒に並びません。
看守に近い服装をし、天秤を握り、狼とともに「他のNo.」を粛清する。

そして最後には、本来存在しないはずの「011」と結びつくような描写まで現れます。

コトコ第二審「ディープカバー」の基本情報

囚人番号010・コトコの第二審楽曲は「ディープカバー」。

MVは2024年1月18日に公開されました。公式でも、第一審より鮮明になったコトコの表情や行動から、罪の真相と理由を考察するよう案内されています。

MILGRAM公式のキャラクター紹介でも、コトコは他の囚人以上に周囲を観察し、エスへ情報交換を持ちかける人物として描かれています。

第一審では「赦す」67.41%、「赦さない」32.59%で「赦す」。
第二審では「赦す」24.10%、「赦さない」75.90%となり、大きく反転して「赦さない」と判定されました。

「アンダーカバー」と「ディープカバー」

第一審で看守エスが歌った曲は「アンダーカバー」。

コトコの第二審は「ディープカバー」です。

公式の楽曲一覧でも、エスの「アンダーカバー」は第一審、コトコの「ディープカバー」は第二審としてそれぞれ収録されています。

undercoverは一般的に、正体や所属を隠して潜入すること。
deep coverは、それよりさらに深く身分を隠し、長期間その立場へ入り込むようなニュアンスがあります。

この二つを並べると、コトコは第二審でエスの立場を模倣するだけでなく、その役割そのものへ深く入り込もうとしているように見えます。

コトコは自分をエスと同じ「裁く側」だと思っている?

第一審の時点から、コトコとエスはどこか似ています。

他の囚人を観察する。
情報を集める。
罪を見極める。
そして、最終的に「赦す/赦さない」を決める。

ただしエスには、MILGRAMから看守としての役割が与えられています。
コトコにはありません。

それでも第二審のコトコは、明らかに自分を囚人側よりも看守側へ置いているように見えます。

円卓では、コトコだけが「駒」ではない

MVには円卓が登場します。

そこには囚人たちの影と、それぞれのメンバーカラーに対応するような駒が置かれています。
しかし、コトコだけは違います。
彼女自身が看守を思わせる服装で椅子に座り、テーブルへ足を載せています。

つまり、

他の囚人=盤面上の駒
コトコ=盤面を眺める側

という構図に見えます。

本来コトコ自身も囚人番号010のはずです。
それなのに、本人は自分を同じ駒として扱っていません。

第一審で「赦された5人」の番号が並ぶ

MVでは、次の囚人番号が順番に現れます。

  • No.001
  • No.002
  • No.004
  • No.005
  • No.007

これは第一審で「赦す」と判定された囚人のうち、コトコ自身を除いた5人と一致します。

つまり、

001 ハルカ
002 ユノ
004 ムウ
005 シドウ
007 カズイ

です。

一方、第一審で「赦さない」だった

003 フータ
006 マヒル
008 アマネ
009 ミコト

の番号は出てきません。

そして010のコトコ自身も出てきません。
この並びは、かなり意図的に見えます。

4つの影は「赦されなかった4人」?

円卓中央にコトコが立つ場面では、彼女を中心に4つの影が伸びます。

第一審で「赦さない」とされた囚人も4人。

003 フータ
006 マヒル
008 アマネ
009 ミコト

です。

そのため、4つの影がこの4人に対応している可能性があります。

第一審の判定結果を、

赦された5人
赦されなかった4人
そして自分

という形で、コトコが自分なりに再配置しているようにも見えます。

010のコトコはどこへ行った?

最も気になるのが、自分自身の番号である010が出てこないことです。
第一審でコトコ自身は「赦す」と判定されています。
それなら本来、001・002・004・005・007と同じ「赦された囚人側」に010がいてもおかしくありません。

しかしいない。
しかも映像上のコトコは、駒ではなく看守側にいる。

つまりコトコは、第一審で赦された囚人として自分を数えているのではなく、そもそも自分は囚人ではないと考え始めている可能性があります。

そして現れる「011/看守」

MVでは「011」と看守を結びつけるような表現が登場します。
MILGRAM公式上の囚人は001から010までで、エスは囚人ではなく看守です。
そのため、011は正式な11人目の囚人番号ではありません。
ここで私は、010のコトコが、自分を勝手に「011の看守」へ置き換えた可能性を考えました。

つまり、010=裁かれる囚人としてのコトコから、011=裁く看守としてのコトコもしくは、今存在しない011の囚人を裁くための看守としてのコトコへ、自分で立場を移した。

「011」の直後に映るのはコトコ本人

さらに重要なのが、「看守」を思わせる表現のあとに、狼を背後にしたコトコ本人が映ることです。
そのため011は、まったく別の第三者ではなく、コトコ自身が自認する新しい立場を指している可能性が高そうです。

第一審で「赦す」をもらったことで、

エスは私の正義を認めた
↓
なら私はエスと同じ側
↓
私にも罪人を決める権利がある

と進んだのだとすれば、かなり危険です。

5つの駒が壊れ、狼の身体が映る

001、002、004、005、007の番号が出る場面では、対応する駒が壊れていきます。
そして番号ごとに、狼の身体の一部らしきものが映ります。

  • No.001 → 牙
  • No.002 → 爪
  • No.004 → 足
  • No.005 → 身体の左側
  • No.007 → 屈んだ背中
  • No.011 → 目のアップ

001から007までは、第一審で赦された5人。
そこから狼の身体が少しずつ見えていき、最後の011で「目」が映ります。

011には対応する駒がない?

5つの番号には壊れる駒があります。
しかし、011に対応する駒は確認できませんでした。

ここも、

001〜007=裁かれる駒
011=裁く視線

という違いに見えます。

011で映るのが狼の「目」なのも印象的です。
誰が悪いのかを見る。
誰をNOと判定するのか決める。

その視線を、コトコ自身が獲得したということなのかもしれません。

天秤を握るコトコ

コトコは、テミスの天秤を思わせるものを手にします。
天秤は、裁判・公平・正義を連想させる典型的なモチーフです。

しかし重要なのは、コトコがその天秤を握っていること。
裁定の基準を外から与えられているのではなく、自分自身が秤を持ち、判断するように見えます。

これは第二審のコトコの立場を端的に表していると思います。

コトコは狼になる

MVでは、コトコ自身と結びつくように狼が登場します。

狼は単なる暴力性というより、

獲物を探す者
追跡する者
狩る者

というコトコの行動そのものと重なります。

コトコは悪人を探す。
情報を集める。
罪人だと判断する。
そして自分で処罰する。

調査、裁定、執行まで、一人で完結しているのです。

三日月から満月へ

最初に出てきた時は、ピンク色の月は欠けています。
しかしラストでは満月になります。
しかも、満月になったタイミングで狼の存在が強く現れます。

そのため月が満ちていく演出は、コトコの裁定者・執行者としての完成を示しているようにも見えます。

ピンクの月は「血」なのか

MV終盤では、コトコと狼が大量の返り血を浴びています。

そのため、ピンクの月も単なる可愛い色彩ではなく、血を抽象化した色として使われている可能性があります。

三日月だった血の月が満ちる。
狼が完成する。
粛清が始まる。

この流れはかなり不穏です。

満月になると、狼とコトコがNOを粛清する

ラストでは、狼だけが暴走しているわけではありません。
コトコ本人も狼とともに残った「NO」を粛清していくように見えます。

つまり、

コトコ=正義
狼=勝手に暴れる暴力衝動

という分離ではなさそうです。

コトコと狼は、同じ目的へ進んでいます。

裁定するコトコ。
執行する狼。
二つが協力している。

それなら、コトコの暴力性は本人の意思と切り離せません。

最後は返り血を浴びたコトコと狼、そして011

終盤では、大量の返り血を浴びたコトコと狼が、「011」と結びつく場面で映ります。

ここまで来ると、

011の看守=コトコ
狼=その粛清を実行する力

という構図がとても強く感じられます。

第一審で赦された結果、コトコは罪人をやめたのではありません。
本人の中では、囚人から看守へ昇格したことになっているのかもしれません。

第一審のオレンジ色の少女が再登場する

第一審「HARROW」に登場した、誘拐事件の被害者と思われるオレンジ色の服の少女も再び登場します。
コトコは第一審で、この少女を救助したように見えました。

第二審では、その後の事件について書かれたニュースをスマートフォンで見ています。

そこには、

  • コトコが現行犯の男を制止した
  • 正当防衛の範囲を超える暴行の痕跡があった
  • 少女が「助けられた」という趣旨の証言を撤回した

ように読める内容があります。
ただし、この情報はそのまま事実として扱えません。

※なお、過剰防衛?の結果、男性は死亡したとなっています。

「過剰防衛」「証言撤回」は兼城側の独自調査?

記事では、コトコの暴行や少女の証言撤回について、兼城側の独自調査らしき形で伝えられています。

そのため、

コトコが本当に必要以上に暴行したのか
少女が本当に自分の意思で証言を変えたのか

は確定できません。
報道する側に利害関係があるなら、情報が歪められている可能性も考える必要があります。

少女はコトコを怖がっていたわけではない?

ここで映像を見ると、さらに疑問が増えます。

二回目に道でコトコと出会った少女は、最初から怯えているわけではありません。
むしろ笑顔でコトコへ近づいています。
その後、コトコが少女を睨むような目で見たことで、少女が怖がる。

つまり、少女がコトコを怖がって避けたのではなく、コトコが少女を疑い、その視線に少女が怯えた可能性があります。
もしそうなら、ニュースにある「証言撤回」も、少女本人の意思をそのまま反映しているとは限りません。

コトコは「裏切られた」と思い込んだ?

コトコが記事を見て、自分が救った少女に裏切られたと考えた可能性があります。

しかし実際の少女は、再会時に笑顔で近づいている。
ここには大きなズレがあります。
情報を集め、調査し、事実を見極めることを重視するコトコ自身が、不確かな情報によって他人を裁いてしまうという皮肉な構造になっている可能性もあります。

兼城賢勇と兼城賢男

ニュース記事には「兼城賢勇」という人物が登場します。

一方、第一審でコトコが情報を得るために接触した人物の名刺には「兼城賢男」とありました。
名字が同じで、名前も非常によく似ています。

現時点では、

同一人物・別名説

事件関係者側の人物が、本名を隠してコトコへ接触した。

親族説

賢男と賢勇は兄弟などの近親者で、賢男が事情を知りながら情報をコトコへ渡した。

という二つの可能性を考えています。

肩書きも異なり、賢男は社外取締役、賢勇は曙光新聞社の代表と読めるため、同一人物と断定はできません。

ここも第三審で確認したい部分です。

少女の黒いキャップはコトコのもの?

少女が被っている黒いキャップも気になります。
形がコトコのものと似ているように見えます。

もしコトコから渡されたものなら、少女は少なくとも一時期、コトコを自分を救ってくれた存在として受け入れていた可能性があります。

第一審の「赦す」はコトコに何を与えた?

第一審で、コトコは「赦す」と判定されました。
しかしその赦しは、

あなたのすべての行動は正しい
これからも私刑を続けていい

という意味ではありません。
それでもコトコが、

エスが私を赦した
↓
つまり私の正義は認められた
↓
私はエスと同じ裁く側だ

と解釈したなら、第一審判定が暴走を強化したことになります。

アマネでは「赦さない」が教義の強化につながった可能性がありました。
コトコでは逆に、「赦す」が正義の強化につながった可能性があります。
第二審では、判定そのものが囚人へどう作用したのかが非常に強く表れているように感じます。

コトコが欲しいのは「大義名分」?

「ディープカバー」では、単に悪人を倒したいだけではなく、自分が人を粛清するための正当な理由を欲しがっているように感じます。

これは危険なことです。

「罪人だから罰する」だけではありません。
先に粛清したいという欲求があり、その行為を正当化できる理由を探す状態になっている可能性があります。

正義が暴力を制御するのではなく、暴力を正当化するために正義を使うようになれば、コトコの行動は完全に逆転します。

私は第二審では「赦さない」

第一審では私はコトコを「赦す」と判断しました。
悪人を放置せず、実際に被害者を救っている可能性が高かったからです。

しかし第二審では判断を変えます。
私は「赦さない」です。

兼城側の報道が事実ではない可能性はあります。
少女が証言を撤回したという話も、コトコの過剰暴行についても、情報操作や歪曲があったならコトコは被害者です。
そこは考慮したい。

しかし、それとは別に第二審のコトコは、

自分を囚人の外へ置く
自分を看守と同じ裁定者だとみなす
自分の基準でYES/NOを決める
NOと判断した相手を狼とともに粛清する

ところまで進んでいるように見えます。
一人の人間が、

調査
判定
処罰

をすべて自分だけで決める。
しかも、その判断自体が誤った情報に左右される可能性まで見えています。

それなら、これ以上「あなたの正義は正しい」と受け取れる判定を与えるのは危険だと思いました。
第二審では「赦さない」です。

第二審の投票結果

コトコの第二審投票結果は、

判定得票率
赦す24.10%
赦さない75.90%

となり、第二審では「赦さない」と判定されました。

第一審では「赦す」が67.41%だったため、大きく反転した結果です。

第三審で確認したいこと

コトコも、第三審で確認したいことがかなり増えました。

  • 「011/看守」はコトコ自身を指しているのか
  • コトコは本当に自分を010の囚人から外したのか
  • 円卓の4つの影は003・006・008・009に対応しているのか
  • 001・002・004・005・007の5つの駒が壊れる意味
  • 011だけ駒が存在しない理由
  • 狼の牙・爪・足・身体・背中・目の対応に意味があるのか
  • 天秤は「赦す/赦さない」の裁定権を表しているのか
  • 三日月から満月になる意味
  • ピンクの月は血を表しているのか
  • 狼はコトコの暴力性なのか、処刑を行う別の役割なのか
  • NOとして粛清された対象は誰なのか
  • 兼城賢勇と兼城賢男は同一人物か、親族か
  • ニュース記事の「独自調査」はどこまで信用できるのか
  • 少女は本当に証言を撤回したのか
  • 黒いキャップはコトコから少女へ渡されたものなのか
  • 第一審の「赦す」をコトコがどう解釈したのか

第二審「ディープカバー」は、コトコの正義がより強くなったMVでした。

ただ、その正義はもう、弱い人を助けるためのものだけではないように見えます。

誰が罪人なのか自分で決める。
誰を赦すのか自分で決める。
赦さないなら、自分で粛清する。
そして自分自身は、その裁きの対象から外れている。

第一審で赦されたコトコは、自由になったのではなく、自分を裁く側へ昇格させてしまったのかもしれません。
だから私は、第二審では彼女を赦しません。

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