『アンダーカバー [Route: Your (Curtain) Call]』感想・考察|元MVとの違いと死亡した囚人が消えた意味

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『MILGRAM -ミルグラム-』の「アンダーカバー [Route: Your (Curtain) Call]」。

これは完全な新規MVというより、2020年に公開されたエスの「アンダーカバー」を土台にしながら、第一審・第二審を経た現在のMILGRAMに合わせて再構築した映像です。
公式からも、元の「アンダーカバー」MVを軸に再構築し、第一審と第二審を経た変化に注目するよう案内されています。

実際に比較してみると、大部分の映像構成は共通しています。
しかし、変更された場所はかなり意図的。

特に目立つのが、

  • エスではなく囚人たち自身が歌う
  • 死亡した囚人が歌唱や一部映像から消えている
  • 元MVでは11個あった箱が8個になっている
  • 過去を思わせる映像は残る一方、死亡者本人の影だけが消えている

という変化です。

第三審直前のMILGRAMがどのような状態になっているのか。
元MVとの違いを中心に見ていきます。

基本情報

タイトル: アンダーカバー [Route: Your (Curtain) Call]
公開日: 2025年1月16日
原曲: アンダーカバー
原曲歌唱: エス(CV:天海由梨奈)

元の「アンダーカバー」は、2020年5月16日にMILGRAM第一弾MVとして公開されました。
公式も、監獄内部や囚人たちを番号順に初めて大きく見せる、プロジェクトの入口となるMVとして紹介しています。

今回のRoute版は、その約5年後。

第一審と第二審を終え、第三審へ入る直前に公開されています。

最大の違いは「エスが歌う曲」から「囚人たちが歌う曲」になったこと

元の「アンダーカバー」は、エスが歌う楽曲です。

しかしRoute版では、囚人たち本人が歌唱へ参加します。

冒頭ではエスの歌声が入らないため、最初は「今回はインスト版なのかな」と思いました。
ところが002・ユノの声が入った瞬間、「あ、今回は囚人たち本人が歌うんだ」と仕組みが分かります。
ここで歌唱のルールに気づかされるからこそ、その後は「誰が歌っているか」だけでなく「誰が歌っていないか」も強く意識することになりました。

ここで特に重要なのが「UNDER」に続く個人パート。

初めて元MVを見た時、この部分は001〜010、それぞれの囚人に対応しているのではないかと考えていました。
Route版では、その対応がかなり分かりやすくなっています。
個人に対応するパートでは、001から010まで囚人番号順に、その本人が自分に対応する部分を歌っているからです。

元MVではエスがまとめて歌っていたため「この歌詞は誰を示しているのか」と推測するしかありませんでした。

Route版では本人が歌う。
そのため、少なくともこの部分については、各フレーズが個々の囚人へ割り振られていたという読みの強い答え合わせになっています。

ただし、すべての歌詞が個人対応ではない

一方で、楽曲全体が10人へ完全に一対一で割り振られているわけではありません。

個人を明確に表すパート以外には、全体として歌われる部分もあります。

そのため、

個人パート=各囚人への明確な割り振り
それ以外=楽曲全体としての共通部分

くらいに分けて考えるのがよさそうです。

死亡したハルカ・シドウ・マヒルは歌わない

Route版でさらに目立つのが、死亡した囚人が歌唱へ参加していないことです。

第三審開始時点で死亡しているのは、

  • 001 ハルカ
  • 005 シドウ
  • 006 マヒル

の三人。
生存している囚人については、対応する個人パートを本人が歌います。
しかし死亡した三人には、その歌唱がありません。

これは単純な歌唱メンバー変更というより、第三審開始時点でMILGRAMに残っている者だけが現在の声を持つような構成に見えます。

「エスらしき相手を傷つける」カットも生存者だけ

元の「アンダーカバー」には、囚人たちがエスらしき人物へ攻撃するように見えるカットがあります。

Route版で、アップになった部分を順番に見ると、ユノ → フータ → ムウ → カズイ → アマネ → ミコト → コトコとなっています。
囚人番号に直せば、002 → 003 → 004 → 007 → 008 → 009 → 010です。

つまり、確認できる範囲では生存している囚人だけが番号順に並んでいます。
そこから抜けているのは、

001 ハルカ
005 シドウ
006 マヒル

の死亡した三人。
元MVと同じ構造を保ちながら、現在もういない三人だけが抜かれているように見えます。

箱が11個から8個へ減っている

個人的にかなり分かりやすい変化だと思ったのが、落ちている箱の数です。

元の「アンダーカバー」では、11個ありました。

これまで、

000=エス
001〜010=囚人10人

と考えていました。
つまり、エス1人+囚人10人=11です。

ところがRoute版では、8個になっています。
第三審開始時点では、囚人10人のうち3人が死亡。
生存している囚人は7人です。

すると、エス1人+生存囚人7人=8となります。

数字が綺麗に一致します。
もちろん箱の対応が公式に明言されたわけではありません。

しかし、11個→8個という変更が、現在その場に残っている人数を反映している可能性はかなり高そうです。

過去映像は残る。でも死亡した三人の「影」は消えている

元MVには、各囚人の過去や罪に関係していそうな短い差し込み映像があります。

初見時には、かなり正体が分かりにくいカットでした。
第二審まで見た現在、対応を改めて確認すると、ハルカ → コトコ → ユノ → ミコト → フータ → アマネ → ムウ → シドウ → カズイ → マヒルの順で、それぞれの囚人に対応していると考えてよさそうです。

歌詞の001〜010順とは別。

こちらはシャッフルされた「記憶や過去の断片」のような並びになっています。

元MVでは本人らしき影も映っていた

重要なのは、過去映像そのものだけではありません。
元MVでは、その映像へ各囚人本人と思われる影が重なっています。
Route版でも基本構造は残っています。

しかし、

ハルカ
シドウ
マヒル

に対応する場面では、その影が消えています。
死亡した三人だけです。

一方で、その人物に対応する過去映像自体は残っている。ここが印象的でした。

人はいなくなっても、過去や罪は残る

本人の姿は消える。声も消える。箱も消える。
しかし、その人物が残した過去の映像は消えない。
これは意図的な構成にも見えます。

MILGRAMにおいて、その人自身が死亡したとしても、

起こしたこと
残した記録
他人へ与えた影響

までは消えない。
第三審開始通達でも、死亡した三人の影響は現在進行形で他の囚人へ残っています。

ハルカの死はムウへ残る。
シドウの死はマヒルの死へつながる。
マヒルの死はユノへ影響する。
本人が舞台を降りても、その人によって起きたことは監獄に残り続ける。

Route版でも同じ構造を見せているように感じます。

過去映像は誰のもの?現在の対応候補

現時点では、以下の対応でほぼ間違いなさそうです。

ハルカ

ハルカに対応すると考えられる過去映像。
Route版では映像そのものは残る一方、本人と思われる影が消えています。

コトコ

外を歩いている人物のシルエット。
映像単体では判断しにくかったものの、Route版含め相互に見直すと、コトコと考えてよさそうです。

ユノ

ユノに対応すると思われる映像。
第二審までの内容も踏まえると、元MV公開時よりかなり対応を判断しやすくなっています。

ミコト

ミコトに対応する映像。
こちらも後のMVを見た現在では判別しやすい部類です。

フータ

フータに対応する映像。
第一審・第二審で描かれた内容と合わせて確認できます。

アマネ

タイル張りの床が映る場面。
初見では病院なのか浴室なのか判断しにくい映像でした。
第二審まで見ると、アマネには水や洗浄、懲罰を連想させる描写があるため、アマネの過去と見ると納得できます。

ムウ

ムウに対応する過去映像。
後のMVまで見ることで、元MV公開時より意味を考えやすくなっています。

シドウ

メスのようなものが落ちている映像。
医師であるシドウとの対応がかなり分かりやすい部分です。
Route版では映像そのものは残っていますが、シドウ本人と思われる影は消えています。

カズイ

カズイに対応すると考えられる映像。
こちらも後のMVと合わせることで対応を判断しやすくなります。

マヒル

木の葉の影と地面のようなものが映る場面。
映像だけでは最も判断しにくいものの、第二審MVで見られた屋外の風景とのつながりを考えると、マヒルと見てよさそうです。

こちらもRoute版では本人の影が消えています。

冒頭にもRoute版固有の変更がある

MV冒頭にも差分があります。

エスが登場する場面では、背景が[Route: Your (Curtain) Call]という文字で埋め尽くされています。
元MVにはなかった演出です。
(もとはタイトルが入っています)

さらに、元MVでも冒頭の空は少し霧がかったような雰囲気でしたが、Route版ではそこへノイズが追加されています。

そのため、まったく別の世界へ変わったというより、同じMILGRAMへ、これまでの結果による異常や損傷が重なったようにも見えます。

「Route: Your (Curtain) Call」というタイトル

今回最も気になるのが、この副題です。

Route: Your (Curtain) Call

「Route」は、ここまで選んできた道。
「Curtain Call」は、舞台が終わったあとに出演者が再び登場するカーテンコール。
そして括弧の中の「Curtain」を外せば、Your Callになります。

英語の「your call」には、あなたが決める、あなた次第という意味があります。
MILGRAMとは非常に相性のいい言葉です。

「Your Call」と「Your Curtain Call」の二重構造?

もし意図的な表記なら、Route: Your Call=あなたの判断によって選ばれてきたルートと、Route: Your Curtain Call=あなたが作ったルートの果てにあるカーテンコールを重ねている可能性があります。

MILGRAMは最初から、視聴者の投票によって物語や囚人の運命が変化する作品として始まっています。
公式も開始時点で、投票によってMILGRAMそのものが形を変えていくと説明していました。

この副題は、その構造をそのまま言葉にしたものにも見えます。

しかし、この「カーテンコール」には三人がいない

ここで死亡者の扱いが効いてきます。
通常のカーテンコールなら、物語が終わったあと、出演者たちがもう一度舞台へ戻ってきます。

ところがRoute版には、

ハルカ
シドウ
マヒル

がいません。

歌わない。
一部の映像にも現れない。
箱も消えている。
影も消えている。
戻ってくることができない。

だからこのMVは「あなたたちが選んできたルートのカーテンコール」であると同時に、そのルートの結果、もうカーテンコールへ参加できない人間がいることまで見せているように感じます。

そう考えると、残酷なタイトルです。

元MVと同じ映像を使う意味

Route版は、完全新規MVではありません。
むしろ大部分は元の「アンダーカバー」を残しています。

だからこそ、変わっていない部分と変わってしまった部分の対比が目立ちます。

監獄そのもの。
囚人たちの過去。
罪を示唆する映像。
それらは残っている。
しかし、そこにいた人間の一部はもういない。

第一審・第二審を通して変わったのは「過去」ではなく、その後の現在です。

Route版は、新しい事件を見せるMVではなく、同じ『アンダーカバー』をもう一度見せることで、どれだけ失われたものがあるかを確認させるMVなのかもしれません。

元の『アンダーカバー』で分からなかったものが、今になって分かる

元MVはMILGRAM最初期の映像です。

当時は、

  • それぞれの囚人が何をしたのか
  • 差し込み映像が誰のものなのか
  • 「UNDER」以降の歌詞が誰に対応するのか
  • 箱が何を意味するのか

推測でしかほとんど分かりませんでした。
しかし第一審・第二審を経たRoute版では、同じ映像を見る側の情報量が大きく変わっています。
さらに本人歌唱や死亡者の欠落によって、元MVの構造そのものについても答え合わせが進みました。

このMVは第三審への入口であると同時に「最初の映像を、今のお前ならどう見る?」と問い直す作品でもあるように感じます。

まとめ|これは「現在のMILGRAM」で作り直されたアンダーカバー

「アンダーカバー [Route: Your (Curtain) Call]」は、映像の大部分こそ元MVを引き継いでいます。

しかし変更された部分を見ると、第一審・第二審の結果がはっきりと刻まれています。

囚人本人が自分のパートを歌う。
死亡した三人には歌唱がない。
エスらしき人物を傷つける映像からも三人が消える。
11個だった箱は8個になる。
過去映像は残る一方、死亡した三人の影だけが消える。

つまり、過去そのものは変えられない。しかし、今そこにいる人間は変わってしまった。
そして、それを生み出したのは、第一審・第二審で積み重ねてきた判断です。

「Route: Your (Curtain) Call」。

あなたが選んだルート。
あなたの判断。
その果てのカーテンコール。

第三審へ入る前に元の「アンダーカバー」をもう一度見せる意味は、大きかったと思います。

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更新

2025年1月16日公開「アンダーカバー [Route: Your (Curtain) Call]」までの内容で作成。
第三審各囚人の個別MVについては、本文の考察へ使用していません。

公式では、本MVは2020年公開の「アンダーカバー」オリジナルMVを軸に再構築され、第一審・第二審を経た変化に注目する作品として公開されています。

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