『MILGRAM』エス「アンダーカバー」感想・考察|11個の箱と“看守も試されている”説

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『MILGRAM -ミルグラム-』の主人公であり、看守を務めるエスの楽曲「アンダーカバー」。
MILGRAMで最初に見ることになる重要なMVのひとつです。

囚人10人が次々と映し出されますが、初見では当然、誰が誰なのかも分かりません。
それでも映像を見て最初に感じたのは「これ、10人それぞれ誰か一人の死に関わっている……?」ということ。

そしてもうひとつ気になったのが、囚人ではなく看守エス自身でした。
これは本当に「10人の囚人を裁くためだけの歌」なのか。
むしろ裁く側――エス、そしてエスとなって投票する私たち視聴者に向けた歌なのではないか。

この記事では、後の審の情報をまだ入れず、「アンダーカバー」を初めて見た時点で感じたことを残しておきます。

※以下、「アンダーカバー」MVの内容に触れています。

「アンダーカバー」の基本情報

楽曲: アンダーカバー
歌唱: エス(CV:天海由梨奈)
MV公開: 2020年5月16日
シングル発売: 2020年5月27日

エスはMILGRAMの主人公であり、監獄の看守。

視聴者はエスの立場となり、10人の囚人が何をしたのか、その理由は何だったのかを考え、最終的に「赦す/赦さない」を判断します。

ただしエス自身にも過去の記憶はありません。
なぜ自分がミルグラムにいるのか。
なぜ看守なのか。
それすら分からない状態で、ジャッカロープから与えられた役割を淡々とこなしているように見えます。

この時点ですでに「他人を裁く側のエス自身も、かなり謎の多い存在では?」という疑問が残ります。

初見では「視聴者へ向けた歌」に感じた

最初に感じたのは、これが囚人側の歌というより、看守エス――つまり視聴者側へ向けられた歌なのではないかということでした。

映像の中心には囚人10人がいます。
しかし、それを見ているエスがいて、さらに私たちはエスを通して彼らを見る。

そのため、単に「囚人たちには秘密があります」と提示しているだけではなく「さあ、あなたはこれを見てどう判断する?」と観客席に座らされているような感覚があります。

看守というより、初見では少しオーディエンスに近い立場にも感じました。
エスを見ている眼がある、囚人たちを見ている眼がある。

10人それぞれに「誰か」がいる?

MVでは、囚人と思われる人物と、もう一人の人物が対になるようなカットが次々と出てきます。

ただし初見では、

どちらが囚人なのか。
どちらが相手なのか。
誰が加害者で誰が被害者なのか。

ほとんど判断できませんでした。

人物の一部はノイズのように処理され、血と思われる表現も赤ではなく白。

それでも構図だけを見ると、ひとりの囚人に対して、ひとりの相手がいる。
そして何らかの形で死に関わっているように見えます。

まだ個々の事情は何も分からないのに「みんな一人ずつ、誰かを殺ってる……?」というのが初見でのかなり強い印象でした。
もちろん、この段階では誰が何をしたのかまでは断定できません。
むしろそう見えるように情報だけ置かれている感じです。

ランドセルの子までいる

特に驚いたのが、ランドセルを背負った小学生くらいに見える子がいること。
「え、小学生いるよね!?」となりました。

MILGRAMに収監されている以上、この子もほかの囚人と同じように何者かの死へ関わっていることになります。
ただ、子どもであることだけを理由に赦すのか。
事情を知って判断するのか。
そもそも子どもへ大人と同じ基準を適用するのか。

まだ何も知らない段階なのに、すでに「どう裁く?」という問題をこちらへ突きつけられているように感じます。

エス本人も状況を分かっていない

エスは看守ですが、すべてを理解したうえで囚人を管理している人物には見えませんでした。
むしろ自分自身も状況を完全には理解していない。
それでも、与えられた看守という仕事を、必要に駆られて淡々とこなそうとしているように見えます。

ここには違和感があります。
自分が何者なのかも分からない人物が、他人を「赦す/赦さない」と判断する。

でも、考えてみれば視聴者である私たちも同じです。
囚人の人生をすべて知っているわけではありません。
限られた映像や言葉を見て、それでも判断しなければならない。

そう考えると、エスの不完全さそのものが視聴者の立場と重ねられているようにも感じます。

冒頭の「11個の箱」が気になる

初見でかなり引っかかったのが、冒頭付近に登場する箱です。

数えてみると、11個あるように見える。
囚人は10人。

では、残りの1個は誰のものなのか。
そのうちひとつをエス自身が持っています。
そして、その箱が開くところから「アンダーカバー」の物語が進んでいくようにも感じました。

もし11個が、囚人10人+エスを表しているのだとしたら。

エスは単なる外側の看守ではなく、最初から10人と同じように「秘密を暴かれる側」の一人として数えられているのではないでしょうか。

もちろん、現時点では初見時の仮説です。

2個だけ横倒しになっている?

さらに気になるのが、箱の向き。
見間違いでなければ、多くの箱は蓋のある面が上を向いているのに、2個だけ横倒しになっているように見えました。
箱っぽいので、みんなと同じ箱が、横倒しになっていると判断。
底が見えている、白い底。
もっと正確にいうと、絶対箱に意味がある→でも足りないな?→あ、向かってエスの右側に転がっている四角、箱なのでは→あれ、十一個あるな……?です。

とはいえ、なぜこの2個だけ違うのか、現時点ではまったく分かりません。

対応する人物がいるのか。
何らかの状態の違いなのか。
それとも単なる映像上の配置なのか。

ここは今後のMVを見たあとに、もう一度戻って確認したいところです。

「UNDERCOVER」は秘密を暴くという意味?

タイトルは「UNDERCOVER」。

初見では「みんな秘密を持っているんでしょ?」という印象を受けました。

囚人10人には、それぞれ表からは見えない事情がある。
誰が何をしたのかも隠されている。
その秘密をひとつずつ開いていく作品なのだと思います。

ただ、11個の箱が気になったことで、秘密を持っているのは本当に囚人だけなのか?という疑問も出てきました。

エス自身も記憶を失っています。
本人すら知らない秘密が、エスにもあるのかもしれません。

「エス」という名前も意味がある?

名前を見て気になったのが、エス=Es。
フロイトの精神分析では、「Es」はイドと呼ばれ、本能的な欲動や無意識に関わる概念です。

もちろん、MILGRAMのエスという名前が、フロイトのEsに由来すると公式に確認できたわけではありません。
そのため、これはあくまで初見時の連想です。

ただ、MILGRAMでは囚人を赦すかどうかを決めるとき、必ずしも法律だけで判断する必要はありません。
ジャッカロープの説明でも、好き嫌いのような感情を含めて、自分自身の基準で決めていいことが示されます。
好き嫌いはかなり本能的な判断です。
もし「エス=Es」という連想まで意図されているのだとしたら、理性的・客観的に罪を裁くゲームではなく、むしろ自分自身の奥にある価値観や感情をさらけ出して判断するゲームなのではないか。

そんな可能性も感じました。

実は試されているのは看守側?

ここまで見て、初見時点でもっとも気になったのがこれです。

囚人10人を試しているように見えて、本当に試されているのはエス――つまり私たちなのではないか。
ジャッカロープは、何を基準に投票するかについてかなり自由な説明をします。

上記でも書きましたが、極端にいえば「この人が嫌いだから赦さない」でも成立してしまう。
だとするとMILGRAMは「誰が悪人なのかを当ててください」というゲームではないのかもしれません。

不完全な情報だけを渡されたとき、誰に同情するのか。誰を嫌うのか。何を許せないと思うのか。結果と動機のどちらを重視するのか。年齢や境遇によって判断を変えるのか。

それに、囚人10人がそれぞれ何らかの罪を抱えているのなら、彼らを裁く看守側にも別の種類の罪が生まれる可能性がある。

赦すべきでない人物を赦した結果、誰かが傷つけば、その判断に責任はないのか。
逆に、赦される余地のある人物を不十分な情報や感情だけで赦さなかった場合、それもまた看守側が生み出した罪になるのではないか。
そう考えると、MILGRAMは囚人の罪だけでなく「人を裁く側の責任」まで試しているように見える。

そうした看守側の価値観そのものを観察する仕組みにも見えます。

エス自身にも罪がある?

11個の箱。
記憶を失ったエス。
自分のことも分からないまま、10人を裁く役目を与えられていること。

これらを合わせると、やはりエス自身にも何か罪があるのではないかという可能性も考えたくなります。
あるいは、最初から罪があるのではなく、囚人を裁いていく過程そのものによって、エスにも何かが生まれるのではないか。

看守として下した判断が誰かの運命を変えるなら、それはエス自身の行為にもなります。
「裁く側だから無罪」とは限りません。

ここは今後の展開でかなり確認したい部分です。

初見時点の考察まとめ

「アンダーカバー」を初めて見た段階では、まだ囚人10人の名前すらほとんど分かりません。

それでも気になったのは、囚人の秘密以上に、看守エスの立場でした。
10人を裁くためにいるはずなのに、自分自身のことを知らない。
囚人が10人なのに、箱は11個あるように見える。
そのうちひとつをエスが持ち、そこから物語が始まる。
そして私たち視聴者自身がエスになって、人を「赦す/赦さない」と決める。

もしかすると「アンダーカバー」で暴かれていくのは、囚人たちの罪だけではないのかもしれません。

囚人の秘密を暴く過程で、エス自身の秘密が暴かれる。

さらにその外側では、どんな理由で人を赦し、どんな理由で赦さないのかという、視聴者自身の価値観まで暴かれていく。
初見では、そんな作品なのではないかと感じました。

ここから囚人10人の第一審を見ていくと、この印象がどう変化するのか。
あとで「アンダーカバー」を見返して、答え合わせしていきたいと思います。

二回目に見て気づいたこと

初見では全体の印象を追うだけで精一杯だったので、二回目は特に「箱」「囚人10人と対になる人物」「小道具」「歌詞と映像の対応」を意識して見直しました。

すると、最初に見たとき以上に、エス自身がこのMVの外側にいるだけの人物ではないのではないかという印象が強くなりました。

エスが持っている箱は「000」

MV冒頭でエスが持っている箱には「000」と番号が振られています。
そして、その000の箱が開くところから映像が始まります。
囚人たちは001から010。

そう考えると、

000=エス
001~010=囚人10人

という対応に見えます。
もちろん、箱がその人物そのものを意味すると公式に説明されているわけではありません。
それに、それ以外の箱の番号は、私には確認出来ませんでした(アップにしたらわかるのか……?)
ただ、少なくともエスだけ番号の外側にいるのではなく、囚人10人と連続した「000」という番号を与えられているように見えることはかなり気になります。

箱はやはり11個ある

改めて数えてみても、箱は11個あるように見えました。
初見では「2個だけ横倒しになっている?」と思いましたが、よく見ると少し違うかもしれません。
開け口がこちらを向いていないもの、正面を向いていないように見えるものを含めると、向きが揃っていない箱は6個ほどあるように見えます。

そのため「2個だけ明確に別の状態」とまでは現時点では言えなさそうです。
ここは、箱の向きに意味があるのか、それとも単なる配置なのかを保留にしておきます。

ただし、箱が全部で11個あることと、エスの箱が「000」であることは、やはり気になります。

“何かが起きた場面”は10人分ある

MVには、それぞれの囚人に対応するように、何らかの事件や死を連想させる場面が10個挟まれています。

初見では「10人それぞれが誰か一人を殺めているように見える」という印象でした。
二回目に見ても、その印象自体は大きく変わりませんでした。

ただし、誰が何をしたのかは依然として、このMVだけでは判断できません。

相手側の人物が全員同じように見える?

さらに気になったのが、10人それぞれと対になる「相手」の姿です。
ノイズのように処理されているため顔などは確認できませんが、背格好がすべて似ているように見えました。
そして、そのシルエットがどことなくエスにも見えます。
服装と、その後に見える線画のみのキャラクターは、エスの後ろ姿に見える。

もちろん「囚人10人全員が実際にエス本人へ何かをした」という意味だとは考えにくいです。

むしろこれは、実際の被害者そのものを描いているというより、エスがそれぞれの罪の相手役に置かれている象徴的な演出なのではないか、と今のところ感じています。

もしそうなら、看守エスは10人の罪を外から眺めているだけではなく、ひとりひとりの罪を自分自身で受けるような位置から観察させられていることになります。

ここも今後確認したいポイントです。

落とされるもの――カミソリのような物と3本の鍵

映像の途中では、最初にカミソリのように見えるものが1つ落ちます。
その後には、鍵が3本落ちてくるように見えました。

なぜこの二種類なのかは、現時点では不明です。

誰か特定の囚人と対応しているのか。
監獄そのものを示しているのか。
「傷つけるもの」と「開けるもの」という対比なのか。

まだ判断材料が足りないため、今は小道具として記録しておきます。

最後には「000」の箱だけが閉じる

冒頭で開いた「000」の箱は、MVの最後で再び閉じます。
そしてその場には、エスも囚人10人の箱も見当たりません。残っているのはジャッカロープだけ。

この構図もかなり気になります。
最初に000の箱が開き、そこから囚人たちの映像が始まる。
最後に000の箱が閉じると、すべてが消え、ジャッカロープだけが残る。

そう考えると「アンダーカバー」そのものが、000=エスの箱の中で行われている何かのようにも見えてきます。
あるいは、エスが10人を観察するための一連の体験が、000の箱を開閉することで始まり、終わっているとも考えられます。

初見で考えた「エス自身も試されているのではないか」という仮説ともつながる演出です。

歌詞と次に映る囚人の罪が対応している?

二回目で特に気になったのが、歌詞と映像の順番です。
「アンダー」に続く歌詞の内容が、その直後に登場する囚人の罪の一部を示しているように見えました。
まだ各囚人の第一審を見ていないため、本当に対応しているのかは分かりません。
ただ、もしこれが意図的なら「アンダーカバー」の歌詞そのものが、10人の罪を先回りして断片的に提示している可能性があります。

これは第一審を10人分見終わったあと、必ずもう一度確認したい部分です。

『MILGRAM』「アンダーカバー」のUNDER後は囚人10人の罪のヒント?歌詞と映像を考察
『MILGRAM -ミルグラム-』エス「アンダーカバー」に繰り返し登場する「UNDER」後の歌詞は、囚人10人それぞれの罪や人物像を示している?第一審を見る前の段階で、歌詞の意味と映像、囚人との対応を整理し、今後のMVで答え合わせしていきます。

二回目で強くなった「エスも対象なのでは」という感覚

初見では、11個の箱があるなら、11個目はエスなのでは?という程度でした。

しかし二回目では、

  • エスの箱には「000」と書かれている
  • 000の箱が開いてMVが始まる
  • 囚人10人に対応する事件らしき場面がある
  • 相手側の人物がエスのようにも見える
  • 最後に000の箱が再び閉じる
  • 閉じたあとはジャッカロープだけが残る

という描写が重なりました。

そのため今は、「001~010の囚人を調べている000番の看守」ではなく、000もまたこの仕組みの中に組み込まれた11人目なのではないかという疑いが、初見時よりかなり強くなっています。

エスが裁く側なのは確かです。
ただし、裁く側だから試されないとは限らない。

むしろ10人への判断を積み重ねることで、エス自身――そしてエスとして投票する私たち――が何を選ぶ人間なのかを測られているのではないか。

現時点では、そんなふうに見えています。

第一審を見たあとに再び見ると?

※囚人10人の第一審を視聴後に追記します。

初見では「誰が誰なのか」すら分からなかった映像が、各囚人の第一審を見たあとでどのように変わって見えるのかを比較します。

公式リンク

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更新

※囚人10人の第一審を視聴後を追加予定。


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