『MILGRAM -ミルグラム-』囚人番号001、ハルカ/櫻井遥の第二審。
第一審では、ハルカの中心にあるものを「愛されたい」「認めてほしい」という欲求として見ていました。
自分に自信がなく、何をすれば正解なのかも分からないまま、誰かからの愛を求めている人物に見えたため、私は第一審では「赦す」を選びました。
しかし第二審まで見ると、その「愛されたい」はもっと具体的です。
ハルカが欲しかったのは、誰かからの漠然とした愛ではなく、母親に自分を見てほしいという欲求だったのかもしれません。
そして、そのために生き物を傷つけたり、殺したりしていたのだとすれば、第一審で感じていた印象はかなり変わります。
第二審開始時点のハルカ
第二審Voice Trailerでは、ハルカはエスの反応をかなり気にしています。
「僕、何か変ですか?」と尋ねる様子から、自分自身に変化が起きていることを本人も意識しているように見えました。
一方、裏の声では「ごめん、ごめんね」と謝りながら、かなり焦っているように聞こえます。
第一審で「赦す」とされたことで安心したというより、むしろ誰かとの関係への依存や不安が強くなっているように感じました。
第二審MVは「母親との関係」が中心?
今回のMVでは、第一審に登場した少女がほとんど前面に出てきません。
代わりに強く描かれるのが、母親らしき女性との関係です。
ハルカはその人物のもとへ走っていきます。
しかし受け入れてもらえるどころか、張り倒される。
倒れたハルカは一瞬「え?」というような表情で涙を浮かべ、その直後に笑います。
そして次のシーンで首を絞める。
この流れが印象的でした。
「愛してほしい」より「見てほしい」
第二審の歌詞は、全体的に「自分を見てほしい」という欲求へかなり寄っているように感じます。
母親に褒められたい。認めてもらいたい。自分の存在を意識してほしい。
第一審では「愛がほしい」という大きな欲求に見えていましたが、第二審ではもっと具体的に、母の視線を自分へ向けたいという願いに見えてきました。
そのため、首を絞める場面も単純な殺意ではなく「どうしても僕を見てくれないなら、見ざるを得ない状況にする」という歪んだ形の「こっちを見て」にも思えます。
昔は母親に愛されていた?
歌詞には、「以前のように抱きしめてほしい」と取れる内容があります。
これが重要です。
ハルカは最初から母親に愛されていなかったわけではないのかもしれません。
少なくとも本人の記憶の中には、
昔は抱きしめてもらえた
以前は愛情を向けてもらえた
という時期があるように見えます。
だからこそ、その愛を失った後の執着が強くなったのではないでしょうか。
何をきっかけに愛情が変わった?
ここは第二審でもまだ分かりません。
ただ、いくつか候補は考えられます。
兄弟姉妹と比較されるようになった
第一審MVに登場した少女が姉や妹だった可能性です。
ハルカよりその子の方が母親の期待に応え、比較されるようになった。
もしそうなら、
以前は愛されていた
↓
比較対象が現れた
↓
自分は期待外れと扱われる
↓
母親の視線を取り戻したくなる
という流れが作れます。
母親が「女の子」を望んでいた?
かなり仮説寄りですが、母親が女児を望んでいた可能性も残ります。
幼い頃のハルカを女の子の代わりのように可愛がっていたものの、成長するにつれてそう扱えなくなった。
あるいは、後から妹が生まれ、その子へ関心が移った。
この場合も「昔は愛されていたのに、ある時から愛情を失った」という変化にはつながります。
ただし、現時点では根拠が薄いため、候補の一つとして考えています。
父親に似てきた?
ハルカの家庭描写では、父親の存在がほとんど出てきません。
これも少し気になります。
父親が家庭から離れていた。
母親が父親との関係で傷ついていた。
成長するにつれて、ハルカの性格・言動・見た目が父親に似てきた。
そうした理由で母親の態度が変わった可能性もあります。
いずれにしても、現時点で重要なのは、ハルカ自身が「以前は愛されていた」と感じていることです。
幼いハルカと現在のハルカが混ざっている?
今回、ハルカの服装がかなり気になりました。
半袖、セーターベスト、靴下の長さ、服の丈などが場面によって違い、それがパズルのように噛み合う演出があります。
これは単なる衣装違いというより、幼少期のハルカと現在のハルカが一つに重なっている表現にも見えます。
体は成長していても、母親に愛してほしかった子どもの自分はそのまま残っている。
母親へ走っていく場面の表情が特に幼く見えるのも、そのためかもしれません。
張り倒された瞬間に見せる「どうして?」という顔は、大人の怒りというより、拒絶された子どもの反応に近く見えました。
水は「羊水」なのか
今回のMVでは、水がかなり重要なモチーフになっています。
水槽。魚。部屋全体が水で満たされるような表現。
最初は感情や無意識を表しているのかと思いました。
しかし、歌詞に「生まれ変われたら」という方向の内容があることを考えると、水を羊水や胎内として読むこともできそうです。
母に愛される子として生まれ直したい?
もし水が羊水なら、ハルカの願いは単なる「人生をやり直したい」ではありません。
母親に愛される子どもとして、最初から生まれ直したいという願いになります。
自分は期待外れだった。
母が望んだ子ではなかった。
だから今の自分を修正するのではなく、最初から別の自分として生まれたい。
そう考えると、幼少期と現在が混ざる服装ともつながります。
第二審のハルカは、現在を生きているというより、出生からやり直したいほど過去に囚われているのかもしれません。
水槽・魚・蝶の標本
MVでは水槽や魚だけでなく、蝶の標本も登場します。
水槽と標本には共通点があります。
どちらも、生き物を閉じ込めて見るものです。
水槽の中の魚は生きていても外には出られない。
標本の蝶は美しい姿のまま残りますが、もう生きてはいません。
「見られる存在」としてのハルカ
これをハルカ自身へ重ねると、
僕を見てほしい
僕の存在を認識してほしい
という欲求とかなり噛み合います。
生き物を観察する水槽。
見られるために固定された標本。
ハルカ自身も、母親に「見てもらえる存在」になりたかったのかもしれません。
動物を殺していた?
今回のMVでは、複数の動物が登場し、溶けるように消えていく描写があります。
これを見て、ハルカが過去に動物を殺していた可能性が気になりました。
第一審では、岩のようなものを使って何かを何度も殴る場面があります。
当時は人間を襲っている可能性を強く考えていましたが、第二審の動物描写を踏まえると、あれが犬などの動物だった可能性もあります。
母親の反応を得るためだった?
もしハルカが実際に生き物を傷つけていたなら、その理由も今回のテーマとつながるかもしれません。
普通にしていても母親は自分を見てくれない。
でも、生き物を傷つければ母親が反応する。
怒られる。驚かれる。注意される。それでも、ハルカにとっては「母親が自分を見てくれた」ことになる。
そうした経験が繰り返された結果、
悪いことをする
↓
母親が反応する
↓
これをすれば見てもらえる
という学習につながっていた可能性があります。
もしそうなら、ハルカの加害は快楽目的というより、最初は「母親の視線を得るための手段」だったのかもしれません。
ただし、だからといって動物への加害が赦されるわけではありません。
第一審の少女は誰だった?
第二審では、第一審MVに登場した少女が前面に出てきません。
だからこそ、あの少女が誰だったのかが余計に気になります。
比較されていた姉妹?
有力候補の一つは、姉または妹です。
母親が少女の方を高く評価し、ハルカと比較していたのだとすれば、ハルカがその子へ強い感情を向ける理由になります。
特に子どもの頃は女児の方が発育が早いこともあり、年齢が近ければ、妹でも姉でも比較対象として成立します。
母親の関心を奪う存在だった?
姉妹でなくても、母親が高く評価していた少女だった可能性があります。
ハルカにとって重要なのは、「その子が誰なのか」より、母親が自分よりその子を見ているということだったのかもしれません。
もしそうなら、
動物
↓
比較対象の少女
↓
母親本人
と、加害対象がエスカレートしていった可能性まで考えられます。
引き出しのアクセサリーとネックレス
MVでは、ハルカが引き出しを開ける場面があります。
中にはアクセサリーが箱ごとしまわれており、その中からハルカが一つを取り出します。
それが、現在ハルカが身につけているネックレスに似て見えました。
母親のネックレス?
MVに登場する母親らしき人物も、似たようなネックレスをつけているように見えます。
長さなどに違いがある可能性はありますが、もし同じものなら、現在のハルカが母親のアクセサリーを身につけていることになります。
これは意味深です。
母親に見てもらいたかった。
でも、母親は自分を見てくれなかった。
その結果、母親のものを自分で身につけている。
もし首を絞められている人物も母親なら、母親に愛されたいから母親を自分のものにしたいへ執着が変化しているようにも見えます。
複数の指輪
引き出しには、二本の指輪が揃ったケースが三つ、一つだけ入ったケースが一つ確認できました。
これをすぐ「両親の結婚指輪」と断定するのは難しそうです。
家族のアクセサリー。
複数世代の指輪。
母親の所持品。
遺品や記念品。
いくつも可能性があります。
ただ、大量のアクセサリーの中からハルカがネックレスだけを選ぶ点を見ると、家族全体ではなく、母親個人への執着を示している可能性はありそうです。
「どうして赦された?」の意味
今回かなり気になったのが、「どうして赦された?」と取れる内容です。
この言葉は、一つの意味だけではなさそうです。
これまでの加害を赦された
もし動物への加害を繰り返していたなら、こんなことをしてきたのに、なぜ赦された?という意味。
さらに人間への加害まで含むなら、その重さはさらに増します。
第一審で「赦す」と判定された
これは第二審だからこそ成立する読みです。
ハルカは第一審で実際に「赦す」と判定されました。
その結果を受けて、どうして僕を赦したの?とエスへ問いかけている可能性があります。
生まれてきたことを「許された」
そして水=羊水、生まれ変わりというモチーフまで含めると、もう一つの読みができます。
どうしてこんな僕が生まれることを許された?という問いです。
母親の期待に応えられなかった。
望まれた子ではなかった。
それなのに、なぜ自分は母から生まれてきたのか。
この「赦された」は、MILGRAMの判決だけでなく、自分が存在することそのものへの疑問にも読めます。
「赦す」がハルカを救ったとは限らない
第一審では、私はハルカを「赦す」と判断しました。
愛情不足や自己評価の低さが強く見え、悪意というより、満たされなかった欲求によって罪へ向かった人物だと思ったからです。
しかし第二審を見ると、第一審で赦したことが本当にハルカを救ったのか分からなくなります。
もしハルカが、
何をしても僕は見捨てられない
こんな僕でも赦してもらえる
と受け取ったのなら、その判決が依存や加害を強化してしまった可能性もあります。
第一審終了報告で語られた「人生は思い通りにいかない」という言葉が、ここでもかなり重く感じます。
母親にも責任はあったのか
ここはかなり難しいです。
もし母親が、
他の子と比較する
期待外れとして扱う
愛情を条件付きにする
身体的に暴力を振るう
といった行動を取っていたのなら、ハルカの人格形成や行動に影響した可能性はあります。
ただし、それとハルカ本人の加害責任は別です。
母親との関係にどれほど問題があったとしても、動物や人を傷つけることまで自動的に正当化されるわけではありません。
一方で、もしハルカが生まれつき他者を傷つけたい人物ではなく、
愛されたい
見てほしい
認めてほしい
という欲求を間違った方向へ学習した結果として加害へ向かったのなら、親子関係の影響も無視できません。
「なぜこうなったか」と「だから赦せるか」は別に考える必要がありそうです。
第二審で一審の印象が大きく変わった
第一審では、ハルカは「愛が足りなかった人物」に見えました。
第二審では、その愛への飢えが、実際の加害とかなり近い場所にある可能性が見えてきます。
もし、
母に見てほしい
↓
生き物を傷つける
↓
母が反応する
↓
さらに加害する
↓
比較対象の人間へ向かう
↓
最後には母親本人へ向かう
という流れだったのなら、ただ重い。
可哀想だから赦す。
それだけでは済まなくなりました。
私の第二審判定
現時点では、私は「赦さない」です。
母親との関係には強く同情します。
期待され、比較され、愛情を失い、それでも昔のように抱きしめてほしいと願っていたのだとすれば、その苦しさはかなり大きかったと思います。
ただし、もしその結果として生き物を繰り返し傷つけ、さらに人間へまで加害を広げていたのなら、私はその行為を赦しにくいです。
「なぜそうなったのか」は理解できても、「だから赦す」とは言えない。
第二審のハルカは、そこを強く突きつけてくる人物になりました。
第二審の投票結果
ハルカの第二審投票結果は、
| 判定 | 得票率 |
|---|---|
| 赦す | 45.03% |
| 赦さない | 54.97% |
となり、第二審では「赦さない」となりました。
第一審では「赦す」58.33%だったため、ハルカは第一審から第二審で判定が反転しています。
第一審では「愛されたい」「満たされていない」という部分が強く見えていた一方、第二審では母親との関係だけでなく、生き物への加害の可能性や、母親の注意を引くために行動をエスカレートさせていた可能性まで見えてきました。
「なぜこうなったのか」への同情は残る一方で、実際に何をしていたのかが具体的に見えてきたことで、第一審より厳しい判断へ変わった人が増えたのかもしれません。
第二審時点で残った疑問
現時点で特に気になるのは次の点です。
母親は、なぜハルカへの愛情を失ったように見えるのか。
第一審の少女は姉妹なのか、それとも別の比較対象なのか。
ハルカは本当に動物を殺していたのか。
第一審で岩を使って殴っていた相手は犬などの動物だったのか。
母親らしき人物の首を絞めた場面は、実際に起きた出来事なのか。
ネックレスは母親のものなのか。
水は羊水や「生まれ直し」を表しているのか。
そして「どうして赦された?」は、過去の加害、第一審判決、出生そのもののどこまでを指しているのか。
第二審のハルカは、一審よりも「可哀想な人物」と「赦しにくい加害者」の両方が強くなりました。
だからこそ、判定がかなり難しくなっています。
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