『MILGRAM -ミルグラム-』囚人番号010、コトコ/杠琴子の第一審楽曲「HARROW」。
第一審最後の囚人です。
これまでの囚人とはまた少し違って、コトコのMVでは「何かを調査し、それを追いかけ続ける姿」がかなり明確に描かれています。公式も、コトコが何と対峙しているのか、何を目的としているのかを考察してほしいと紹介しています。
最初に見た時は、身内が事件に巻き込まれ、その犯人へ復讐しているのかと思いました。
しかし見直していくと、もっと複雑かもしれません。
コトコ自身が過去の犯罪被害者で、その犯人をずっと追い続けていた。
そして再び同じような被害者を見つけたことで、今度は自分が「救う側」になった。
という線を考えました。
そこまでは正義だったのかもしれない。
けれど、その先でコトコは笑っています。
狼も笑う、コトコも笑う。
もしかすると「人を救うための暴力」は、いつの間にか「悪人を狩ることそのものを楽しむ暴力」へ変わっていったのでしょうか。
「HARROW」の基本情報
囚人番号: 010
名前: 杠琴子
通称: コトコ
CV: 愛美
第一審楽曲: HARROW
MV公開日: 2021年11月27日
公式プロフィールでは、コトコは論理的で理性的、頭の回転が速く、エス以上にMILGRAM内の人間を観察しているような人物として紹介されています。
情報交換を持ちかけることもあるなど、囚人でありながら一歩引いて状況を見る側でもあります。
この「観察する側」という性質は、第一審MVで自ら事件を調査し、対象を追い詰めていく姿にもつながって見えます。
「HARROW」の意味
「harrow」は名詞では農具の「まぐわ」を意味しますが、動詞ではひどく苦しめる、悩ませる、心をかき乱すといった意味を持ちます。
英語の harrowing も、「胸をえぐられるような」「痛ましい」といった意味で使われます。
コトコのMVを考えると、犯罪によって傷つけられたコトコと犯罪者を追い詰め、苦しめるコトコの両方にかかっているようにも見えます。
最初は「轢き逃げ事件を追っている」と思った
MV冒頭には、交通事故の目撃者を探しているような看板が登場します。
そのため初見では、
少女の轢き逃げ事件が起きる
↓
コトコが犯人を独自に追う
↓
犯人の居場所を突き止める
という話だと思いました。
しかし、何度か見返すと、もしかすると順番が逆なのではないかと思えてきました。
コトコは最初から“その人物”を追っていた?
MVでは、コトコが誰かから名刺のようなものを受け取ったり、金銭を渡しているように見える場面があります。
もしこれが情報提供者や情報屋とのやり取りなら、コトコはかなり前から特定人物について独自に調査していた可能性があります。
つまり、轢き逃げ事件が起きたから犯人を探し始めたのではなく、以前から追っていた人物が、轢き逃げ事件にも関与していたという順番です。
轢き逃げと誘拐は同じ犯人?
第一審MVには、交通事故だけではなく、子どもの誘拐を思わせる場面も登場します。
ここが今回もっとも気になった部分です。
轢き逃げには不自然な点がある
MVからは、
車で少女をはねる
その後、被害者を自宅前らしき場所へ置いていく
事件を隠そうとしている
ようにも見えます。
さらに、親など周囲の大人が事件の隠蔽に関与している可能性まで感じました。
もしここまでが同じ犯人に関係しているなら、単純な事故ではありません。
そしてコトコが以前からこの人物を追っていたのだとすれば、この轢き逃げは「コトコが調査を始めた事件」ではなく、調査中に新たに発覚した犯罪の一つだった可能性があります。
誘拐に関係する子どもは少なくとも三人いる?
誘拐に関する場面を見直すと、一人の子どもだけでは説明しにくく見えます。
私には少なくとも、
オレンジ系のワンピースを着た子
暗い場面でハンマーのようなもので殴られる子
ピンク系の服と短パンを着た子
の三人がいるように見えました。
オレンジのワンピースの子
オレンジ系の服を着た少女は、誘拐された子どもとして描かれているように見えます。
その後、コトコが突入し、この子を救出しているような流れがあります。
間違いなくたすける場面だったとすれば、コトコは実際に誘拐された子どもを一人救っていることになります。
殴られて死亡したように見える子
その途中には、誰かがハンマーのようなもので殴られている暗い場面が挟まります。
服の色はピンク系にも見えますが、画面が暗く、人物を特定できません。
オレンジの子とも、後に登場するピンクの短パンの子とも、同一人物とは限らないため、現時点では別の被害者として考えています。
しかし、のちのピンクの短パンの子は、この子といたようにも見えます。
もしこの人物が本当に死亡しているなら、誘拐事件では複数の被害児童が出ていた可能性があります。
ピンクの服と短パンの子は幼いコトコ?
そして一番気になるのが、最後に登場するピンク系の服と短パンの子です。
誰かが助けに来たような場面の中で登場するため、この子が幼少期のコトコなのではないかと考えました。
もちろん第一審だけでは確定できません。
しかし、もしそうだとすると、コトコがなぜここまで執拗に犯罪者を追うのか、一気につながります。
もし、そうだったとしたら
もしピンクの服の少女が幼いコトコなら、当時の長い髪と現在の短髪の違いも気になります。
オレンジの服の少女も長髪であるため、MV内では「被害に遭う少女」のイメージとして長い髪が重ねられている可能性があるのです。
コトコが成長後に髪を短くしたことを、もう“獲物になる側”には戻らないという決意の表れとして読むこともできそうです。
コトコ自身も誘拐被害者だった?
仮にピンクの短パンの子が幼いコトコなら、事件の流れは次のように考えられます。
過去:コトコが誘拐される
幼いコトコ自身が、何者かによる誘拐事件へ巻き込まれる。
同じ事件では、ほかにも子どもが被害に遭っており、助からなかった子までいたのかもしれません。
コトコ自身は誰かによって助け出された。
しかし犯人は十分に裁かれなかった、あるいは事件そのものが何らかの形で隠された。
現在:コトコが独自に犯人を追う
成長したコトコは、その事件を終わったものとして扱わず、自分自身で犯人を追い続ける。
報提供者らしき人物から情報を得る。
金を払って情報を買っているようにも見える。
そして追跡の途中で、犯人が新たに起こしたと思われる轢き逃げ事件にも行き当たる。
たどり着いた先は、昔の誘拐現場?
さらに恐ろしいのが、犯人の居場所を突き止めた結果、そこが昔のコトコ自身が囚われていた場所と同じ場所だった可能性です。
しかも、そこでは現在進行形で別の少女が誘拐されている。
もしこの読みが合っているなら、コトコにとっては過去の事件がそのまま再現されたことになります。
かつては助けられる側だった。
今度は、自分が助ける側になった。
最初の暴力は、本当に「正義」だったのかもしれない
ここがコトコの第一審で最も難しいところです。
もし目の前で子どもが誘拐され、すでに別の被害者まで殺されており、今止めなければさらに犠牲者が出る状況だったのなら、犯人を暴力で制圧すること自体は理解できます。
少なくともコトコの最初の行動は、誰かを傷つけたいではなく、誰かを助けたいから始まった可能性があります。
そして実際に、自分が動いたことで子どもを救えた。
この成功体験こそが、その後のコトコを危険な方向へ進ませたのではないでしょうか。
「自分が裁けば人を救える」という成功体験
法律や警察では間に合わなかった。
大人は事件を隠した。
犯人は犯罪を繰り返している。
でも、自分で調べ、自分で追い、自分で殴ったら、一人の子どもを救えた。
そうなればコトコの中では、自分のやり方は正しいという強烈な確信が生まれても不思議ではありません。
最初は一人を助けるためだった私的制裁が、
悪人は自分が裁くべき
↓
自分には悪人を裁く資格がある
↓
悪人を見つけたら自分が制裁する
という思想へエスカレートしていった可能性があります。
狼はコトコ自身?
「HARROW」で繰り返し印象に残るのが狼です。
狼というと、
群れを守る
仲間を守る
獲物を追う
牙で仕留める
という、守護者と捕食者の両方のイメージがあります。
これはそのままコトコにも当てはまります。
最初は「守る狼」
誘拐された子どもを救うコトコは、守護者です。
自分がかつて被害者だったのなら、昔の自分と同じような子を守るという意味も生まれます。
この段階では、狼の牙は誰かを救うためのものだったのかもしれません。
狼が笑い、コトコも笑う
ところが終盤では、狼が笑っているように見える場面があります。
そしてコトコ自身も笑う。
ここで印象が変わりました。
犯人を倒すために必死なのではなく、狩ることそのものを楽しんでいるように見えるのです。
最初は人を救うためだった。
しかし何度も悪人を追い、倒し、裁くうちに、
獲物を探す
追い詰める
制裁する
という行為そのものに高揚を感じるようになったのではないでしょうか。
「正義のための暴力」から「暴力のための正義」へ
コトコの第一審で一番怖いのはここだと思います。
最初から快楽目的の暴力なら、まだ分かりやすい。
しかしコトコは、おそらく本当に「正しいこと」をしようとしていた。
人を助けた。
犯罪者を止めた。
実際に結果も出した。
だからこそ、自分の暴力は正しいという確信が生まれた。
そしていつの間にか、正義のために暴力を使うから暴力を使うために“正義”を必要とする状態へ変わってしまったのではないでしょうか。
狼と一緒に笑うコトコは、その境界を越えた瞬間にも見えました。
コトコの拘束具は「口輪」?
コトコの拘束具も特徴的です。
特に口元を覆う形は、犬などが噛みつくのを防ぐためにつける口輪(マズル)を思わせます。
MVで狼が重要なモチーフになっていることを考えると、偶然とは思いにくいデザインです。
コトコ自身にとって、その牙は「弱者を守るための牙」なのかもしれません。
しかしMILGRAMから見れば、人へ噛みつく危険な狼として拘束されている。
そんな二重性を感じます。
「株式会社曙光新聞社 社外取締役 兼城賢男」の名刺
コトコの調査場面では、
株式会社曙光新聞社
社外取締役
兼城賢男
と書かれた名刺が登場します。
さらにコトコは、この人物と思われる相手へ金銭を渡しています。
単なる名刺交換ではなく、何らかの情報を対価を払って得ていたように見えました。
兼城賢男は事件の情報提供者?
ここで気になるのが、事件に関する記事では、容疑者側の親が社会的な影響力を持ち、事件の隠蔽に関与した可能性が示唆されていることです。
そのため兼城賢男は、
事件当時から犯人側の事情を知っていた人物
過去の事件を取材していた人物
親による隠蔽について情報を持っていた人物
などの可能性があります。
第一審だけでは、兼城本人が過去の記事を書いた記者だったのか、犯人側の親族・関係者なのかまでは分かりません。
ただし、コトコが直接接触し、金銭まで渡していることを考えると、彼女が一般には出ていない情報を買っていた可能性はかなり高そうです。
轢き逃げ事件より前から犯人を追っていた?
この場面を考えると、コトコは「轢き逃げ事件が起きたから犯人を探し始めた」のではない可能性があります。
むしろ、
過去の事件からずっと犯人を追っていた
↓
兼城賢男ら情報提供者から情報を得る
↓
追跡中に、犯人が新たな轢き逃げ事件を起こしたことを知る
↓
現在の居場所を特定する
↓
そこでも再び子どもが誘拐されていることを知る
という流れだったのかもしれません。
もし幼少期のコトコ自身も過去の誘拐事件に巻き込まれていたのなら、彼女の調査は一時的な正義感ではなく、長い時間をかけて続けてきた追跡だったことになります。
コトコとエスは似ている?
もう一つ気になったのが、コトコとエスの顔立ちです。
目元や顔の印象がどこか似て見えます。
もちろん、第一審時点で二人に血縁などがあるという情報はありません。
エスについて公式が明かしているのは、記憶を失った状態でMILGRAMの看守となり、視聴者の依代として囚人たちを「赦す/赦さない」と裁く存在だということです。
二人とも「裁く側」
見た目以上に面白いのが、二人の役割です。
コトコは現実世界で、自分自身で悪人を見つけ、裁く人物に見えます。
一方エスはMILGRAMで、囚人の罪を知り、赦すか赦さないかを決める人物。
つまり二人とも「裁く側」です。
もしデザインを意図的に似せているのだとしたら、血縁というより、私的に人を裁くコトコとMILGRAMという仕組みの中で人を裁くエスを鏡写しにしている可能性も考えられます。
エスがコトコの内面や血縁者だったら?
完全な想像ではありますが、エスがコトコの内面的な一部や、妹・弟のような血縁者だったら面白いとも感じました。
特にコトコには「守る対象」「かつて守られた経験」「裁く側」という要素があるため、エスとの関係に何らかの意味があっても面白そうです。
ただし、第一審時点では根拠のない仮説なので、今後確認したい点として残します。
Voice Trailerの「楽しい」
第一審前のCharacter Voice Trailerでは、コトコの後ろ側の声が笑ったあと、「楽しい」と言っているようにも聞こえました。
最初は何を指しているのか分かりませんでした。
しかし「HARROW」を見た後だと、
悪人を追い詰めること
暴力を振るうこと
自分自身が裁くこと
に関係している可能性を考えたくなります。
狼と一緒に笑う姿まで含めると、コトコの問題は「正義感が強すぎる」だけではなく、その正義と快楽が結びついてしまったことなのかもしれません。
フータとの違いも気になる
コトコを見ていて、少しフータを思い出しました。
二人とも「悪いことをした相手を許せない」という正義感を持っているように見えます。
ただしフータは、大勢の賛同によって自分の正義が強化され、その結果として攻撃をエスカレートさせていったように見えました。
一方コトコは、むしろ逆です。
周囲に頼らず、自分で調べ、自分で判断し、自分で実行する。
群衆による私刑と個人による私刑。
やり方は違いますが、どちらも「自分たちには相手を裁く資格がある」と考え始めた時点で、危うさが生まれているように感じます。
第一審の投票結果
コトコの第一審は、最終的に**「赦す」**となりました。
| 判定 | 得票率 |
|---|---|
| 赦す | 67.41% |
| 赦さない | 32.59% |
第一審10人の中でも、比較的大きく「赦す」側へ傾いた結果です。
MVだけを見ると、コトコが「犯罪者らしき人物を追い、被害者を助ける存在」として描かれているため、その行動を肯定したくなるのも分かります。
ただ、私は最後の笑顔がかなり気になりました。
私の第一審判断は「赦す」
私の第一審での判断は「赦す」です。
正直、終盤で狼と一緒に笑うコトコを見た時は迷いました。
彼女の暴力は、途中から「誰かを助けるため」だけではなく、悪人を追い詰め、裁くことそのものへの高揚と結びついているようにも見えます。
私的制裁を繰り返し、自分自身を「裁く側」に置いているのなら、危うさはかなり大きい。
それでも私は、第一審では赦します。
もし今回考えたように、
幼い頃のコトコ自身が誘拐事件の被害者だった
事件が十分に裁かれず、犯人がその後も犯罪を繰り返していた
コトコは長い時間をかけ、自分で情報を集めながら犯人を追っていた
そして再び誘拐された子どもを発見し、自ら助けに入った
という流れだったのなら、私はその行動を簡単には否定できません。
コトコは、ただ「悪人を殴りたかった」わけではなかった。
少なくとも最初には、助けたい誰かがいたのだと思います。
自分がかつて救われる側だったからこそ、今度は自分が救う側になった。
そこから正義がエスカレートし、私刑や暴力そのものへ依存するようになった可能性はあります。
でも第一審時点では、彼女がそうなるまでの背景と、実際に誰かを救おうとしていたことの方が、私には重く感じられました。
だから私は、第一審のコトコを赦すと判断します。
ただしこれは、コトコの行動すべてを肯定するという意味ではありません。
「人を救うための牙」が、いつから「狩るための牙」に変わったのか。
そこは今後も見ていきたいと思います。
第一審時点で残った疑問
第一審「HARROW」で残った疑問はかなりあります。
幼いコトコは本当に誘拐事件の被害者だったのか。
三人に見える子どもたちは、それぞれ別人なのか。
轢き逃げと誘拐は同じ犯人によるものなのか。
コトコは轢き逃げをきっかけに調査したのか、それとも昔の誘拐犯をずっと追っていたのか。
事件は本当に周囲の大人によって隠蔽されたのか。
狼は「弱者を守るコトコ」なのか、それとも「獲物を狩ることを楽しむコトコ」なのか。
そして、コトコはいつから笑うようになったのか。
最初は、確かに誰かを助けるためだったのかもしれません。
だからこそ、正義だったはずの行為がどこから別のものへ変わったのかが、コトコの第一審で一番気になりました。
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