『MILGRAM -ミルグラム-』囚人番号002番、樫木優乃の第三審「ライフ」。
公式では2025年6月18日に第三審MVとして公開されました。
第三審シングルには「ライフ」のほか、Voice Drama「融解温度」などが収録されています。
第三審開始通達では、ユノ自身がMILGRAMの処置によって大きく崩れたわけではなく、マヒルの死を目の前で見たことで内面に動揺が生じていることが示されていました。
今回の「ライフ」では、これまで曖昧だった妊娠と失われた命について、かなり具体的な情報が明かされます。
そして同時に、その出来事を経験したあとも生き続けているユノが、自分自身をどう捉えているのか。
そこが第三審の中心になっているように感じました。
- 「ライフ」基本情報
- 保健室から始まる制服ユノと私服ユノ
- 定期券は「あたし⇔あたし」のまま
- 駅で吐き気を覚え、トイレへ
- 鏡の向こうにいる肉塊のような存在
- ユノから半透明のユノが剥がれていく
- 「堕胎」が歌詞で明確になる
- ユノは「赦さないで」と言う
- 「一緒に生きられれば」という願い
- 立入禁止のような場所へ向かうユノ
- 子宮や骨盤を思わせるモチーフ
- 最後に肉塊が破裂する
- 妊娠発覚
- ユノは生きている
- ハルカとユノの生年が合わない?
- MILGRAMは「ある時点の人格情報」を保存している?
- MILGRAM内の死亡=現実世界での死亡ではない?
- マヒルへの言葉が重い
- 過去と「日常生活へ戻った後」の視点が混ざっている?
- 「ライフ」というタイトル
- まとめ|ユノは「生き残った側」として生き続ける
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「ライフ」基本情報
- 囚人番号:002
- 囚人:ユノ(CV:相坂優歌)
- 審査:第三審
- 楽曲:ライフ
- MV公開日:2025年6月18日
- 第三審シングル発売日:2025年6月18日
- カバー曲:ラビットホール -ユノ Cover-
- Voice Drama:融解温度
保健室から始まる制服ユノと私服ユノ
冒頭、制服姿のユノが保健室から出てきます。
その様子を心配そうに見ているのは、私服姿のユノ。
第二審でも複数のユノが登場しましたが、今回も同じ構造が続いています。
制服ユノと私服ユノは別人というより、
同じユノの異なる側面
別の時点の自分
自分自身を見守るもう一人の自分
として見るのが自然そうです。
定期券は「あたし⇔あたし」のまま
定期券には今回も、あたし⇔あたしという構造が続いています。
第二審でも、自分自身の中を往復しているような表現がありました。
第三審でも、ユノが向き合っている相手は最終的に自分自身。
誰かに救われるより、自分で自分を抱えて生きるという構造が続いているように見えます。
駅で吐き気を覚え、トイレへ
駅で電車を待っていた制服ユノは、突然強い吐き気を覚えます。
そのままその場を離れ、吐いてしまう。
妊娠中のつわりを連想させる描写です。
第二審まででも妊娠はかなり強く示唆されていましたが、第三審では資料テキストによって実際に妊娠していたことが明確になります。
鏡の向こうにいる肉塊のような存在
トイレの手洗い場。
鏡の向こうには、肉塊や内臓の集合体のような異形が映っています。
これが何を表しているのかは断定できません。
考えられるのは、
- 胎児
- 妊娠そのもの
- 性行為や相手との関係
- ユノが切り離したかった身体感覚
- 失った命に対する罪悪感
など。
後半では子宮や卵巣、骨盤を思わせるモチーフも登場するため、少なくとも、妊娠・生殖・失われた命を身体的なイメージとして可視化した存在と考えることはできそうです。
ユノから半透明のユノが剥がれていく
制服ユノから、半透明のもう一人のユノが幽体離脱するように剥がれていきます。
その先には電車。
そしてボブの私服ユノが、そのユノを抱き締める。
ここも第二審と同じです。
ユノは自分自身の別の側面によって支えられています。
ただし今回は、その支え方がかなり切迫しています。
第二審では複数のユノが互いを慰め、自分自身を守っているように見えました。
第三審では、自分が自分から離れていくのを、もう一人の自分が必死に引き止めている。
そんな場面に見えます。
「堕胎」が歌詞で明確になる
「ライフ」の歌詞では、これまで推測だった堕胎に関する言葉が明確に出てきます。
ただし、第三審資料まで読むと、ここは単純に、ユノが自分の意思で人工妊娠中絶を選んだとは言い切れないことが分かります。
後半の資料では、妊娠発覚後にユノが意識を失い、階段から転落。
その結果、ユノ自身は生き残った一方で、胎児は失われたことが示されます。
そのため、歌詞における「堕胎」は、医療行為として自ら中絶を選択したという意味だけではなく、自分の中にいた命を失った出来事を、ユノ自身が「自分の行為・自分の罪」として受け止めている可能性もあります。
ここは慎重に分けて考えたいところです。
ユノは「赦さないで」と言う
今回、特に印象的なのが、自分を赦さなくていい、赦さないでほしいという方向の言葉です。
第二審のユノは、「可哀想だから赦す」という見方を嫌っているように見えました。
自分は自分で選んだ。
被害者としてだけ扱われたくない。
そんな意思が強かった。
第三審では、それがさらに進んでいるように感じます。
自分が経験したことを、自分自身の責任として引き受けたい。
だから、赦してもらうことで軽くされたくない。
そんな感情にも見えます。
「一緒に生きられれば」という願い
一方で、歌詞には、一緒に生きられればという方向の言葉もあります。
ここが第三審ユノの重要な部分だと思います。
失われた命。それでも生き続けた自分。ユノは、その二つを完全に切り離せているわけではない。
もし一緒に生きることができていたら。もし別の未来があったなら。そんな可能性まで想像している。
だから「赦さないで」という言葉も、単純な自己罰だけではなく、失った命を忘れないために、自分自身へ責任を残しておきたいという感情にも見えます。
立入禁止のような場所へ向かうユノ
後半、制服ユノは入ってはいけないような場所へ進んでいきます。
ビルの外階段や廃墟のようにも見える場所。
ボブの私服ユノは、その後を追っているようです。
制服ユノは階段を上り、さらに上へ。
そして高所から飛び降ります(階段からふらっと落ちる、そんな感じです)
ボブユノは必死に止めようとしますが、間に合いません。
これは自死なのか
映像だけ見れば、明確な飛び降りです。
そのため、ユノが堕胎後に自死したのではないかとも考えたくなります。
しかし後の資料では、ユノは転落後に意識を回復し、日常生活へ復帰しています。
そのため、この飛び降りをそのまま、現実世界でのユノの自殺と断定することはできません。
むしろ、
死にたくなるほど追い詰められた精神状態
自分自身を投げ出したい感覚
妊娠と喪失を経験した自分の一部を消そうとすること
を象徴している可能性があります。
ボブユノは最後まで止めようとする
ここも大事です。
制服ユノが飛び降りようとする一方で、ボブのユノは止めようとしています。
つまりユノ自身の中には、消えたい側と生きようとする側の両方が存在している。
第二審では複数のユノが互いを慰めていました。
第三審でもその関係は変わっていません。
ユノの中で争っているのは、自分と他人ではなく、生き続ける自分と、消えてしまいたい自分なのかもしれません。
子宮や骨盤を思わせるモチーフ
映像には、骨盤を思わせる形状の天秤のようなものが登場します。
さらに左右へ伸びる構造は、子宮や卵巣を連想させます。
これも、
妊娠
胎児
失われた命
というテーマを強く示しているように見えます。
天秤という形であることまで考えると、
母親の命と胎児の命
自分の人生と失った命
生きることと死ぬこと
を量っているようにも見えます。
ただし、この部分は象徴表現として複数の読みが可能なので、現時点では一つに絞りません。
最後に肉塊が破裂する
終盤では、肉塊のような存在が破裂します。
中身が飛び散り、その衝撃で二人のユノも建物内へ叩きつけられます。
重要なのは、破裂したのは二人のユノ自身ではないこと。
壊れたのは、ユノたちの外に存在していた肉塊です。
もしこれが妊娠や胎児、あるいはその記憶を表しているなら、その出来事が壊れた結果、その衝撃を現在のユノ自身も受けているという構図にも見えます。
自分自身が二つに分かれて争っているというより、二人のユノが同じ出来事によって傷ついている。
そう見ると、第二審から続く「複数のユノ」の関係とも繋がります。
第三審資料で明らかになったユノの過去
今回の資料では、ユノの過去がかなり具体的に明かされます。
高校入学後、パパ活を始めた
ユノは高校へ入学してから、いわゆるパパ活を始めたようです。
それ以前は優等生。
そして意外だったのが、金銭そのものが目的ではなかったことです。
受け取った現金は、友人たちと遊ぶために使っていたとされます。
つまり、生活に困っていたから、お金が欲しかったからという単純な理由ではありませんでした。
大人が何を言えば喜ぶのか分かっていた
ユノは人の顔色を読むのが得意。
大人がどんな言葉を求めているのかも理解していたようです。
第一審・第二審でも、ユノは非常に対人能力が高く見えました。
相手に合わせる。
相手が求める自分を見せる。
それが自然にできる。
しかし、その能力が高すぎるからこそ、日常そのものに退屈していた可能性があります。
「人生がつまらない」
ユノは、人がどう反応するか分かってしまう。
何を言えば喜ぶか。
どう振る舞えばうまくいくか。
それが見えすぎるため、人生に熱を感じられなくなっていたようです。
ところがパパ活をしている時だけは、欲しかったものが得られる。ここは単なる金銭報酬ではなさそうです。
刺激。
相手から向けられる欲望。
普段とは違う関係性。
予測できる日常から外れる感覚。
ユノにとって、パパ活はそうしたものを与える行為だったのかもしれません。
本人は「何が悪いのか分からなかった」
世間では悪いこととして見られている。
だから隠している。
しかしユノ本人には、なぜ悪いのかが分からない。ここもユノらしい部分です。
他人の価値観を理解することはできる。
社会がどう評価するかも分かる。
しかし、その価値観を自分自身のものとして納得しているわけではない。
ユノのドライさや合理性は、ここにも繋がっています。
妊娠発覚
やがてユノは妊娠していることに気付きます。
そこで初めて、自分の中にある命と自分自身の間に大きな温度差が生まれます。
さらに、この先自分へ降りかかるであろう社会的な問題。
家族。学校。周囲の視線。将来。それらが一気に現実になります。
意識を失い、階段から転落
その状況に耐えきれなくなったユノは、意識を失い、ふらつくように階段から転落します。
結果として、ユノ本人は生き残った。
しかし、新しい命は失われた。
つまり、第三審資料だけを見る限りでは、ユノが自分の意思で中絶手術を受けたわけではありません。
転落事故によって胎児を失ったと読むのが自然です。
歌詞では「堕ろす」というような言葉が使われていますが、これは医学的な経緯そのものというより、失われた命について、ユノ自身が自分へ向けている言葉なのかもしれません。
ユノは生きている
三枚目の資料では、意識回復後、日常生活へ復帰した時点の情報をMILGRAMへ保存したことが示されます。
ここは世界観としても重要です。
ユノは現実世界で死亡した状態からMILGRAMへ来たわけではありません。
事故から回復し、その後の日常生活へ戻っています。
少なくとも、MILGRAMへ保存された時点でユノ本人は生存していたことになります。
ハルカとユノの生年が合わない?
そして資料には、ユノが2004年生まれであることも記載されています。
一方、ハルカの第三審資料では1997年生まれ。
ところがMILGRAM内でのプロフィール年齢は、
ハルカ17歳
ユノ18歳
と、ほぼ同年代です。
もし同じ時間軸から連れてこられた二人なら、生年に7年もの差があるのは不自然です。
ここから、囚人たちは同じ年に生きている人間ではないのではないかという疑問が出てきます。
MILGRAMは「ある時点の人格情報」を保存している?
ハルカ第三審でも、情報をMILGRAMへ保存という表現がありました。
ユノでも同じです。
もし囚人たちが現実の肉体そのものではなく、人生のある時点までの記憶・人格・思想情報を保存した存在だとしたら、生年のズレも説明できます。
ハルカは1997年生まれの17歳時点。
ユノは2004年生まれの18歳時点。
現実世界では違う時代に同じ年齢だった二人を、MILGRAM内部では同時に存在させることができる。
この可能性があります。
囚人全員の「現実での現在」は違う?
もしこの仮説が正しければ、MILGRAMにいる姿と、現実世界の本人の現在は一致しません。
たとえば、カズイは現実ではすでにかなり高齢になっているかもしれない。
アマネも、現実世界ではすでに成人し、信仰の中で別の立場になっている可能性があります。
もちろん現段階では仮説です。
今後の第三審資料で、
生年
情報保存時点
が他の囚人についても出てくるか確認したいところです。
MILGRAM内の死亡=現実世界での死亡ではない?
ここからさらに考えると、ハルカ・シドウ・マヒルについても見方が変わります。
第三審開始時点で、MILGRAM内では三人とも死亡しています。
しかし、もしMILGRAMにいるのが「保存された人格情報」なら、MILGRAM内で死亡したことと現実世界の本人が死亡したことは同じではない可能性があります。
少なくともハルカは、情報保存時点では生きていました。
ユノも、日常生活へ復帰しています。
MILGRAM内部では判定によって人格や人間関係を変化させ、その結果を観察する。
そのためのシミュレーション空間なのではないか。
そんな可能性も出てきました。
マヒルへの言葉が重い
第三審開始通達では、ユノはマヒルの死を目撃したことで強く動揺しているとされていました。
そして「ライフ」では、マヒルへ向けた言葉があります。
いつかどこかで会うことができたら、大好きだった彼のことを教えてほしい。そんな方向の言葉です。
これが死後を意識した別れなのか、それとも別の意味なのかは断定できません。
ただ、もし囚人たちが異なる時代から保存された人格だとすれば、現実世界では本来出会うことさえなかった二人だった可能性もあります。
MILGRAMの中でだけ出会った。
その一人が死んだ。
だから「いつかどこかで」という言葉が、さらに切なく感じます。
過去と「日常生活へ戻った後」の視点が混ざっている?
「ライフ」の歌詞は、妊娠や失われた命という過去だけを描いているわけではなさそうです。
資料では、意識を回復し、日常生活へ復帰した時点で情報が保存されています。
そのため歌の中には、事件当時のユノとその後も生きているユノの視点が混ざっている可能性があります。
「赦さないで」という言葉。
一緒に生きられたら、という願い。
失った命への思い。
それでも今ここにいる自分。
これは事故の瞬間だけの感情ではなく、生き残ったあとにユノが何度も考えてきたことなのかもしれません。
「ライフ」というタイトル
今回のタイトルは「ライフ」。
命。人生。生活。生きること。
全部を含められる言葉です。
ユノの第三審では、失われた命と残された自分の人生の両方が描かれています。
自分は生き残った。
その一方で、一緒に生きるはずだったかもしれない命は失われた。
それでも日常へ戻る。
だから「ライフ」というタイトルは、失った命を悼む歌であると同時に、それでも生き続ける自分についての歌なのだと思います。
第三審のユノを赦すか
公式の第三審投票では、ユノは赦す90.55%、赦さない9.45%という結果になりました。
第三審資料まで見ると、ユノの罪については第二審までとはかなり印象が変わります。
少なくとも、自分から積極的に胎児を殺そうとして中絶手術を選んだという単純な話ではありませんでした。
妊娠による不安。将来への恐怖。社会的な負荷。その中で意識を失い、階段から転落。
結果として胎児を失った。そして本人は生き残った。
それでもユノは、自分を簡単に赦してほしいとは思っていない。
自分自身の責任として、その出来事を抱え続けているように見えます。
ここまで見ると、第三審のユノは「罪を軽くしてほしい人」ではなく「自分の人生から失った命を切り離したくない人」なのかもしれません。
まとめ|ユノは「生き残った側」として生き続ける
第三審「ライフ」で一番強く感じたのは、ユノは死ななかったということでした。
胎児は失われた。
自分自身も崩れかけた。
映像では、高所から身を投げるような姿まで描かれる。
それでも資料上のユノは意識を回復し、日常生活へ戻っています。
そしてMILGRAMへ保存された。
ユノは、失った命と一緒に生きられなかった人であり、それでも自分自身の人生を生き続けることになった人です。
だから今回、自分を赦さないでほしいと言う。
忘れたくない。
軽くしたくない。
それでも完全に死を選ぶこともできない。
複数のユノが互いを抱き締める構造も、第二審から変わっていません。
最後までユノを助けようとしているのは、ユノ自身です。
第三審「ライフ」は、失った命についての歌であり、同時に、生き残った自分自身をどう抱えて生きるかという歌なのだと思います。
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更新
2025年6月18日公開のユノ第三審MV「ライフ」まで視聴した時点の感想・考察です。
公式では第三審シングル「ライフ」として公開され、Voice Drama「融解温度」などが収録されています。
第三審の後続囚人の内容は、本文の考察には使用していません。
