『MILGRAM -ミルグラム-』囚人番号004、ムウ/楠夢羽の第二審楽曲「悪くないもん」。
第一審「アフターペイン」では、ムウ自身が学校でいじめられている様子が強く描かれていました。しかし第二審では、その印象が大きく変わります。
女王アリのようなムウ。周囲にいる複数のアリ。貢物を持ってこない相手を壊し、そのまま踏み越えて進むムウ。そして、第一審でも登場した少女を複数人で囲む場面。
第二審で見えてくるのは、「いじめられていたムウ」だけではありません。
ムウ自身もまた、誰かをいじめる側にいた可能性です。
さらに厳しいのが、現在のムウの態度でした。
第二審のタイトルは「悪くないもん」。歌詞も、自分は悪くない、自分を赦したのはそちらなのだから、という自己肯定に満ちています。
第一審で「赦す」と判定された結果、ムウは反省するのではなく、むしろ「やっぱり私は悪くなかった」と確信してしまったのではないでしょうか。
ムウ第二審「悪くないもん」の基本情報
囚人番号004・ムウの第二審楽曲は「悪くないもん」。MVは2023年1月26日に公開されました。
公式も、第一審とは違った表情を見せるムウに注目し、罪の真相と理由を考察するよう案内しています。
第二審シングルには「悪くないもん」のほか、DECO*27「妄想感傷代償連盟」のムウCover、Voice Drama「Queen B」も収録されています。
Voice Dramaのタイトルまで「Queen B」となっているのは、MVの女王的なムウを考えるうえでも気になるところです。
女王バチのようなムウ
第二審MVでムウは、女王蜂を思わせる姿で描かれます。
周囲には働き蜂を思わせる複数の個体が存在し、ムウへ何かを差し出しています。
第二審Voice Dramaのタイトルも「Queen B」であるため、今回の虫モチーフは女王蜂として読むのが自然でしょう。
ムウ=女王、周囲=取り巻き?
映像をそのまま学校の人間関係へ重ねるなら、
- ムウ=グループの中心
- 周囲のアリ=同じ学校の女子生徒、あるいは取り巻き
- 貢物=ムウへ差し出される物や好意
- 女王に従うこと=グループに所属し続ける条件
という構造に見えます。
第一審だけでは「学校で孤立した被害者」という印象がかなり強かったムウですが、第二審ではそれ以前に集団の中心にいた時期があった可能性が見えてきます。
貢物がないハチを壊すムウ
特に強烈なのが、貢物を持ってこなかったように見えるハチへの行動です。
ムウはそのハチを指で押します。
するとハチは倒れ、陶器のように割れてしまいます。
さらにムウは、壊れた相手を、後にそのまま踏んで進んでいきます。
これは単なる人気者というより、
自分へ価値を提供しない相手は必要ない
従わない者は排除する
という支配関係を思わせる描写です。
ただし、この「貢物」が何を意味するのかは、もう一段考える余地があります。
貢物は本当に「ムウの搾取」だけなのか
現時点では、ムウが周囲から物を要求していたように見えます。
しかし、もし今後、
ムウが裕福だから周囲から物や金銭を出すことを期待されていた
それが当たり前になり、ムウ自身も「物を与えられることが自分の価値」だと思っていた
という事情が明かされるなら、見え方はかなり変わります。
女王として君臨しているようでいて、実は、
物を与え続けなければ中心にいられない
価値を提供できなくなれば簡単に切り捨てられる
という不安定な立場だった可能性です。
今のところは仮説ですが、ムウを「ただの支配者」と断定しないためにも残しておきたい部分です。
第一審の少女が再び登場する
第二審では、第一審でも重要だった少女が再び登場します。
この少女はムウらしきハチを見つけると、嫌そうな反応を見せ、そこから離れようとします。
もしこの描写が二人の実際の関係を表しているなら、この時点ですでに少女にとってムウは避けたい相手だった可能性があります。
その後に描かれるのが、屋上らしき場所での場面です。
元々は5人グループだった?
屋上では、ムウを含む4人が少女を囲んでいるように見えます。
ここから考えられるのが、元々は5人のグループだったのではないかという可能性です。
最初は、ムウ+少女+ほかの3人という5人グループだった。
そこから何らかの理由で少女がグループから外れ、残った4人が少女をいじめる側へ回った。
そう考えると、一審と二審の映像がかなりつながります。
黒板の文字は誰へ向けられていた?
第一審ラストでは、黒板への書き込みが登場しました。
第二審では、その場面に第一審の少女が明確に存在しています。
さらに少女は水をかぶった状態です。
ここまで描かれると、第一審の黒板はかなり高い可能性でこの少女を標的としたものだったと考えられます。
単なる悪口の落書きではなく、水をかける行為などを含めた継続的ないじめの一場面だった可能性があります。
歯を食いしばって耐える少女
第二審では、少女が机か椅子の脚を強く掴み、歯を食いしばっているように見える場面もあります。
ここは重要です。
少なくとも映像上、少女はムウに対して最初から一方的に攻撃する人物として描かれているわけではありません。
むしろ、何かに耐えている側としての描写があります。
その後にムウがいじめられる側へ回ったとしても「だから少女も同じくらい悪かった」と単純に相殺することはできません。
誰が最初に何をしたのか。
なぜ立場が逆転したのか。
そこは分けて考える必要があります。
冒頭とラストの砂時計
MV冒頭では、ムウが緑色の液体を満たした砂時計のようなものをひっくり返します。
一方、ラストでは少女が同じものをひっくり返そうとしているように見えます。
この対比はかなり分かりやすいです。
いじめる側といじめられる側の反転?
冒頭ではムウが砂時計を動かす。
最後には少女が動かそうとする。
これを人間関係へ重ねるなら、ムウが支配していた時間から少女側へ主導権が移る時間への反転を表している可能性があります。
第一審でムウが「被害者」に見えたことともつながります。
最初はいじめる側だった。
しかし途中で関係が反転し、自分がいじめられる側になった。
砂時計は、その立場がひっくり返ること自体を象徴しているのかもしれません。
さなぎから生まれるのは、またムウ
ムウの上には、さなぎのようなものも描かれます。
通常、さなぎは変態や成長、新しい姿への変化を連想させます。
しかし、そこから現れるのは結局ムウです。
ここから感じたのは、変化したようで、実は変わっていないということでした。
第一審を経験した。
MILGRAMで裁かれた。
そして「赦す」と判定された。
それでも新しく生まれたムウは、以前とは別人になるのではなく、またムウ自身です。
むしろ第一審での赦しによって、以前より強く「私は悪くなかった」と確信して生まれ直したようにも見えます。
「悪くないもん」というタイトル
第二審のタイトルは、そのまま「悪くないもん」。
そして歌詞も、タイトル通り強烈です。
内容をまとめると、
私は悪くない
もし私に悪いところがあったとしても、それを探さないで
みんなは私をいいと言ってくれる
私を赦したいと言ったのはそちら
だから私の勝ち
という方向の自己肯定が続きます。
ここで問題なのは「私は悪くない」と言っているだけではありません。
「悪かったとしても、理由を探さないで」
私が特に厳しいと感じたのが、仮に自分が悪かったとしても、なぜ悪いのかは探さないでほしいという意味に取れる部分です。
これは自己弁護より一段進んでいます。
「私は悪くない」と思っているだけなら、まだ自分の行為を理解していない可能性があります。
しかし、悪かった可能性があっても検証しないでとなると、そもそも自分の行為と向き合うこと自体を拒否しているように見えます。
第一審の「赦す」が自己正当化に使われた?
ムウは第一審で「赦す」と判定されました。
第二審では、その判定をかなり強く意識しているように見えます。
しかし、ムウの受け取り方は、私にも事情があったから赦されたではなく、みんなが赦してくれたんだから、やっぱり私は悪くないに近いのではないでしょうか。
さらに、赦したいと言ったのはそちらでしょう?という方向へ進めば、自分を赦した判断の責任まで外側へ返すことになります。
「赦された」=「正しかった」ではない
MILGRAMで「赦す」を選んだからといって、その囚人のすべての行為を「正しい」と認定したわけではありません。
しかしムウは、その二つをかなり近いものとして受け取ってしまったように見えます。
第一審の判定が、反省ではなく自己正当化を強める結果になった可能性があります。
「わたしのかち」
第一審で赦されたことを、ムウは「勝った」と考えているようにも見えます。
ここは怖いところです。
MILGRAMの判定を、自分の行為を考え直す機会ではなく自分と相手のどちらが正しかったかを決める勝負として受け取っている。
もしそうなら、ムウにとって第一審の「赦す」は、被害者に対して自分の正しさが認められたという意味になってしまいます。
第一審ではムウも被害者だった
ただし、ムウ自身が後にいじめられていたことまで否定する必要はありません。
第一審で描かれた苦しみも、おそらくムウ本人にとって本物だったのでしょう。
問題は、被害者になった経験があることと自分が他人へしたことがなくなることは別だということです。
ムウが傷つけられたことは、ムウが誰かを傷つけた可能性を帳消しにはしません。
それでもムウを赦す余地があるとしたら
第二審だけを見る限り、私はかなり強く「赦さない」です。
ただし、今後の情報次第では判断が変わる余地も残しています。
その場合、少なくとも現在見えている人間関係を大きく変える背景が必要だと思います。
周囲から搾取されていた可能性
一つは、ムウが裕福であることを理由に周囲から利用されていた場合です。
物を与える。金を使う。それによって人が集まる。
ムウ自身も、何かを与えられることが自分の価値と思い込んでいた。
そして、それができなくなった瞬間に価値を失い、周囲から切り捨てられた。
もしそうなら、女王のような位置に見えたムウも、実際には非常に不安定な関係の上へ立っていたことになります。
少女が先にムウをいじめていた可能性
もう一つは、死亡したと思われる少女との関係です。
もし少女が先にムウを傷つけており、周囲が面白がってムウ側へ加わり、今度は集団で少女をいじめ返すようになったのなら、ムウは単純な一方的加害者ではなくなります。
それでも「いじめ返したから正当」ということにはなりません。
ただ、
被害を受ける
→ 周囲を味方につけて報復する
→ 報復がいじめへ変わる
→ さらに自分が標的になる
という、被害と加害が何度も反転する関係だった可能性が出てきます。
砂時計のモチーフとも相性のいい仮説です。
最後に助けを求めた可能性
さらに、一審の殺害直前についてもまだ分からない部分があります。
いじめられる側へ転落したムウが少女に、助けてほしいあるいはあなたなら私の気持ちが分かるでしょう?
と求めた可能性。
そこで少女に拒絶され、追い詰められた末に刺した。
もしそこまでの背景が明かされるなら、殺害そのものを肯定することはできなくても、ムウがそこへ至った経緯に対する理解はかなり変わります。
第二審の投票結果
ムウの第二審投票結果は、
| 判定 | 得票率 |
|---|---|
| 赦す | 25.54% |
| 赦さない | 74.46% |
となり、第二審では「赦さない」となりました。
第一審では50.34%対49.66%という非常に僅差で「赦す」でした。
それが第二審では大きく「赦さない」へ動いています。
第二審でムウの加害側としての姿がより明確になったことや、「私は悪くない」という現在の態度を重く見た視聴者が多かった可能性は考えられます。
ただし、投票理由そのものは視聴者ごとに異なります。
私の第二審判断は「赦さない」
私は第二審のムウを赦しません。
第一審よりもむしろ判断ははっきりしました。
理由は、過去にいじめる側だった可能性だけではありません。
現在のムウが、
私は悪くない
悪かったとしても調べないで
みんなが私を肯定している
あなたたちが赦した
だから私の勝ち
という方向へ進んでいるように見えることが大きいです。
第一審で赦された結果、自分の行動を考え直すのではなく、「自分は正しかった」と確信してしまった。
そこを私は赦せません。
第三審で確認したいこと
とはいえ、ムウについても第三審で見たい部分はかなりあります。
- 女王アリの構図は、本当にムウが一方的な支配者だったことを示すのか
- 貢物はムウが要求したものなのか、それとも人間関係を保つために与え続けていたものなのか
- 少女とムウのどちらが先に相手を傷つけたのか
- 元5人グループ説は正しいのか
- なぜ立場が逆転したのか
- ムウは殺害直前に少女へ何を求めていたのか
- 第二審で「赦さない」とされたことで、ムウ自身の考え方は変わるのか
特に最後が重要です。
第一審の「赦す」で自己正当化が強まったのなら、第二審の「赦さない」を受けたムウはどうなるのでしょうか。
怒るのか。
さらに被害者意識を強めるのか。
それとも初めて、自分にも悪かったところがあったのかもしれないと考え始めるのか。
第三審では、そこを見たいと思います。
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2026年9月:第二審「悪くないもん」初見・再視聴時点の感想と考察を作成。
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